どうなる!? 2010年(代)のジャパニーズ・ロック(2)
ロックンロール・リヴァイヴァルの影響
金子「とはいえインターネットのおかげでそういうバンドが増えてるってだけじゃなくて、やっぱり2000年代以降に海外で起こったリヴァイヴァルとリンクはしてるんですよね。Lillies and Remainsはリヴァイヴァルものでまず衝撃を受けて活動を始めてるし」
冨田「彼らの影響源はホラーズとか、ニールズ・チルドレンですよね」
金子「あとリヴァイヴァル・ブームで重要なのは見た目の美意識もあると思うんですよ。ストロークスならスキニー・ジーンズにコンバース、みたいな。格好はそれとは違うけど、Psysalia Psysalis Psycheなんかはそういうロックの美意識に影響を受けてると思うな」
冨田「言わないけどね、絶対あるんですよ」
加藤「そもそも、ルーツがないバンドなんてないと思うんですけど、そういうふうに過去の音楽と照らし合わせて見ていくと、彼らは過去の焼き直しなのか……という疑問も湧きます」
冨田「感覚的なものですが、いまの子たちがやってるだけあってアウトプットする時には意識せずとも出てしまう21世紀感があるんですよ。毛皮のマリーズにしても、古臭い音楽やってんなと思いつつ、よく聴くとデジタル・ビートっぽい、プライマル・スクリームじゃね?みたいなのを感じたりする。70年代、80年代が新鮮に思えるのは間違いないけど、それに近いものをやろうとしてもいざ出す時にその〈イマ感〉は隠せない」
金子「そうですね。THE BAWDIESとかは一歩間違えたらただ古いのが好きなだけのバンドだったかもしれないけど、ルーツ・ミュージック的なものがいまの音楽として受け取られる状況になりつつあるっていうことをバンド自体が意識したっていうのは、彼らの音楽にとってデカイかと」
冨田「〈いまは修行の時期だから、ロックのいちばん始めからやってる〉って言ってたんで、次のアルバムは時代が進んでサイケになってるかも(笑)。それはともかく、いまの若いリスナーは音楽を掘って聴いていく人が減ってきている気がするので、そんな時代にかつての良い音楽を消化して、いまの音楽として提示しているのは単純に良いですよね。これでファンの人が自分もその音楽を聴いてみようって思いに繋がっていったら」