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特集

どうなる!? 2010年(代)のジャパニーズ・ロック

加藤「今回は、来たるべき2010年……むしろ2010年代に向けて、こんなロック・バンドがシーンをおもしろくしていくんじゃないか、いやぜひしてほしい!――という特集でございます!!」

土田「いきなり熱いですね」

加藤「熱いです。で、ここではbounce的に注目している面々を紹介しているのですが……」

冨田「黒猫チェルシーとか踊ってばかりの国とか、日本の土着的な〈インディー感〉を持ったバンドと、逆にTHE BAWDIESとかPILLS EMPIREみたいなまったく日本の匂いがしない洋楽志向のバンドと、結構棲み分けがありますよね」

加藤「洋楽志向のバンドは時代は問わずUKのロックに通じている感じもあるような」

冨田「嗜好がUKかUSかで違うのかな。USのバンドが好きな人って、最近だとボルティモアとかNYのバンドに興味ある人が多いと思うんですよ。アニマル・コレクティヴとかライトニング・ボルトとか。で、逆にそういったUSバンドにはBOREDOMSやルインズあたりの日本のオルタナティヴな音楽をリスペクトする人たちが結構いて。だからUSのバンドを聴く人は日本の音楽に何かを発見することもあると思うんです。その一方でUKの音楽が好きな人は、何で日本人は海外の先鋭的でクールな音楽文化に目を向けないんだ!とフラストレーション抱えてたりするんじゃないかと。だから作る音楽も洋楽志向に……」

土田「すごい分析ですね。では、そもそも生まれていない時代のパンクの匂いをさせている黒猫チェルシーあたりはどうなんでしょう?」

金子「絶対インターネットっていう話は出ると思うんですけど、90年代を経験している世代まではほとんどが同じTVを観て、同じCDを買って……という感じだったけど、それ以降の人たちはそういうのがあんまりないと思うんです。例えば、古い日本のパンク・ロックに興味を持って、インターネットで検索すれば〈YouTube〉でも何でもその情報がすごいあるわけで。そこを掘っていけばいくらでも深く知ることができる」

冨田「どんな年代の音楽もすべてフラットに情報があるわけですよね。そこで多くの若いバンドが古いものをピックアップするのがおもしろい」

金子「単純に新鮮っていうのもあるのかな。あとバンドやってるくらいだから、やっぱりアーティスティックな気質を持ってる連中で、やっぱり王道というよりマニアックなものに目がいくんだと思うんですよ。そこで惹かれるのはマニアックのなかの王道だったりするんじゃないかと」

冨田「確かに〈YouTube〉なんかは何でもかんでも上がっているんじゃなくて、そのなかでも評価されているものが上がってますからね」

金子「最近ドアーズっていう単語をやたら聞く気がして。あれはまさにそれじゃないかな」

土田「The John's Guerrillaはドアーズからの影響がありますよね」

金子「壊れかけのテープレコーダーズもそうだし、あとまだ音源出してないオワリカラっていうバンドとか……結構増えてるんですよね」

冨田「オッサンが聴いて喜びそうって感じの(笑)」

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年12月02日 18:00

ソース: 『bounce』 316号(2009/11/25)

文/加藤 直子、金子 厚武、土田 真弓、冨田 明宏

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