2010年(代)のロック・シーンを掻き回すバンドはコレ!(3)
YOLZ IN THE SKY
『IONIZATION』 felicity(2009)
金属的なギターとハイトーンのヴォーカルが醸す危うい雰囲気に、NYパンク~ノーウェイヴとの共通点が見い出せる、大阪発のポスト・パンク・バンド。ジャーマン・ロックからYMO、リカルド・ヴィラロボスまで古今東西のミニマリストからの影響を咀嚼し、独自のハンマー・ビートを鳴らす彼らは国内のダンス・バンドのなかでもひときわ異彩を放つ。*金子
THE BRIXTON ACADEMY
『TBA』 AWDR/LR2(2009)
ロンドンの名門ライヴハウスからバンド名を拝借。4つ打ちのタイトなドラムスや跳ねるようなベース、シンプルなギター・リフで、ギリギリまで無駄を取り除いたミニマルなディスコ・パンク~ポスト・パンクを志向する。ニュー・オーダーっぽさが色濃いけど、レイト・オブ・ザ・ピアーにも似たアグレッシヴなシンセ使いに、現代的なセンスを感じさせる。*冨田
Psysalia Psysalis Psyche
『Matin Brun』 SEEZ(2009)
狂おしいほどの怒りと哀しみを退廃的な美意識のなかに投じた初のフル作にして、孤高の傑作。シューゲイザー、ガレージ、オルタナ、グラム・ロックなどを多彩なリズム・パターンと共に攪拌し、官能的な混沌として鳴らしたサウンドは、漆黒の闇に転じて聴き手を捕える。一切の妥協を許さない強烈なアート志向に新人らしからぬ凄味を感じさせる一枚だ。*土田
Lillies and Remains
『Part of Grace』 Fifty One(2009)
バウハウスの曲名からバンド名を取ったというこのバンドは、PLASTICZOOMSらと共に、日本で〈ゴス〉の旋風を巻き起こすかもしれない。とはいえダークでアグレッシヴなポスト・パンク・サウンドだけに留まらず、ネオアコを経由したポップなソングラティングにも長けた彼らは、ゴスという言葉を必要とせずとも十分に魅力的なバンドなのである。*金子
PLASTICZOOMS
『CHARM』 felicity(2009)
アルバム・デビュー前から耳の早いロック・リスナーの間で話題となっていた、東京を中心にライヴ活動を展開する6人組。バウハウスや初期キュアーらポジティヴ・パンク~ゴシック・パンクを思わせるバンドだが、ライドのようなシューゲイザー風のナンバーもあり、エッジの立ったオルタナティヴ・ロックの担い手として日本のみならず世界各地でも注目を集める存在だ。*冨田
NIZ
『stone』 残響(2009)
押し寄せるフィードバック・ノイズと甘く気怠い歌声に溺れるメランコリック・サイケデリア。これは……マイ・ブラディ・ヴァレンタインに対する2009年東京からの回答? ヴィジュアルもしっかりうつむき加減な男女デュオの初作には、御大直系のシューゲイザー・サウンドが充満している。グルーヴィーな冒頭曲には仄かにマッドチェスターの香りも。いま、この音というのが逆に新しい! *土田
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