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CROSS TALK――澤竜次 & 渡辺大知(黒猫チェルシー) × 會田茂一(FOE)(4)

冷めてきたロックを熱く復刻

――澤くんは、先日の誌面のインタヴューでも言ってましたよね。いまは昔に比べて、ロックというものに対する驚きが薄れてきてる時代だけど、そういうふうに〈冷めてきたロック〉をもう一回熱いものにして、全然ロックを知らない人たちを食いつかせたい、って。

「はい。たぶん60年代や70年代はロックも出はじめで、出てくるバンド出てくるバンドみんなに衝撃を受けて、ということが多かったと思うんですけど、いまはロックが普通にTVでも、街を歩いてても流れるじゃないですか。みんなが聴きやすいものになってる。そこを〈冷めてるな〉って感じるんですけど、でもそういうのじゃなくて、中学生とか女子高生の人とかが〈何やこれ!〉って思ったりとか、それだけじゃなくて、単純にリフとか歌詞とかを〈格好ええな〉と思ってくれたら嬉しいな、って。けっこう高度なことをやるバンドが増えてるなかで、〈こんな単純なギターと単純な歌で、楽しめるんやで〉みたいな。みんな、もっと気軽にライヴハウスに来て、単純なことで楽しんでくれたらなってすごく思います」

會田「そういう魅力的なものであり続けたいと思うよね。僕らもライヴをやる時にはそうだし、観に来る人も〈今日はライヴだ〉と思ったら、ライヴハウスに着くまでの時間も観てる時間も楽しみの一部だから。家でDVDを早送りして1時間で観れるものとは違う。だからこそ意味があると思うし、黒猫チェルシーがそれをやろうとしているのはすごく頼もしいし、格好良いなと思いますね……そうなんだよね、僕から見るとヤワに思えるものが多いというか、自分が思うロックというものとそうでないものとの垣根が、いまはあいまいな気がしますね。ゴツゴツしていたりとか、ビックリするものとか、ちょっと怖いと思うぐらいのものに、もっともっと人が集まってもいいんじゃないかなと僕は思うし。これはよく話す例えなんだけど、みんな、映画とかだと観たこともないものとかものすごく怖いものとかが好きなんだけど、音楽だとどうして耳馴染みのいいものばかりを聴くのかな?って。遊園地とかでも、怖いものに人が並んだりしてるじゃないですか。なのになぜ音楽は?って」

「ジェットコースターみたいな感覚で聴いてくれたら嬉しいですけどね。でもやっぱり、音楽は衝撃を受けるもんやと思ってる人が少ないってことですかね」

渡辺「音楽がBGMになってきてるんですかね。娯楽というより、流れててくれればいいみたいなものになってるのかなって、たまに思いますけどね。〈この音がいい〉というような感覚がないというか、そこを感じながら聴く人が少ないというか。〈いまのフレーズがいい〉とか〈このグルーヴがいい〉とか、もっと感じてくれればハマるんじゃないかなと思うんですけどね」

「僕は小学生の頃にボン・ジョヴィを聴いてましたけど、ロックという言葉を知ってるぐらいで、バンドがどういうものかとか、そういうことはあんまり理解できなかったし。それがジミ・ヘンドリックスを観た時にコロッと変わったというか。そういうちょっとしたきっかけなんですよね。いまの中高生とかにとって、僕らがその〈ちょっとしたきっかけ〉になれたら嬉しいなと思いますね。僕らが作る曲には、そういうところがあるんですよ。僕らが最近聴いてる音楽を〈こんなん聴いてるんだけど〉って人に勧めるみたいな。〈これ、格好良いやろ?〉って勧める気持ちというか」

渡辺「高校の友達とかで、趣味を訊いても〈別にないわ〉っていう人がけっこう多いんですよ。あとは、〈音楽はやりたいけど、ギター弾かれへんから〉とか……そういう人こそ、きっかけがあれば音楽に入りやすいだろうし、どんどん楽しくなっていくものだと思う。音楽ってやるのは簡単だから、もっとみんなやってみればいいのにと思いますね」

會田「僕も、音楽が好きになっていろんな音楽を聴きはじめた頃は、ヘッドフォンで真剣に聴いたり、今度ライヴに行くから通常の倍ぐらいの音量で聴いて耳を慣らしておこうとか(笑)、そういうことをしていたぐらいに〈音楽を聴く〉っていうのは夢のある行為で、楽しい行為だったんだよね。そういう体験をしたぶん、音楽は楽しくて豊かなものなんだよ、ということを伝えたくて音楽活動をしてるところがあって」

「でも、いまも音楽を聴く人がこれだけ多いということは、もともと人間が求めるリズムみたいなものがあるんちゃうかな?って僕は思うんですよね。形はどんどん変わっていっても、そういうリズムみたいなものは求められ続けるんちゃうかなと思います」

――アイゴンさん、大知くん、澤くん、今日はどうもありがとうございました。最後に、黒猫チェルシーは全員10代という若さでのデビューになるんですけど、ミュージシャンの先輩として、アイゴンさんから何かアドヴァイスをもらえますか。

會田「僕がデビューしたというか、GO-BANG'Sというバンドでギターを弾いて音楽の仕事を始めたのが19の時なんですよ。あの頃とは時代が違うし、いろんな面で進化してると思うんですけど、こういうふうに音楽の豊かさを啓蒙してくれるバンドがいることを心強く思います。特にアドヴァイスということもないんだけど、いまみたいにショックを与え続ける音楽で、武道館とかもやってほしいですね。僕もがんばりますから」

澤&渡辺「ありがとうございます。がんばります!」

▼黒猫チェルシーと會田茂一関連の作品を紹介

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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年12月02日 18:00

ソース: 『bounce』 316号(2009/11/25)

文/宮本 英夫

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