Discography 73-75 関連作と楽しむ名唱の数々(2)
STEVIE WONDER
『Fulfillingness' First Finale』 Motown(1974)
神がかりなパワーを発揮していた頃のスティーヴィーが生んだ大傑作。J5が招かれたのはニクソン政権を批判した“You Haven't Done Nothin'”で、その〈アーティスト〉然とした姿勢は兄弟たちの創作熱を強く刺激することに。*出嶌
GEORGE McCRAE
『Rock Your Baby』 TK(1974)
マイアミから躍進してきたTKサウンドの熱は、本作の表題曲が全米No.1を記録するに至って、多くのソウル・アーティストにディスコの勢いを知らしめる。そんな時流を見極めたマイケルの感覚こそがJ5に活路を与えていくのだった。*出嶌
MICHAEL JACKSON
『Forever, Michael』 Motown(1975)
すでに離脱が決定していたからか、まるで追悼盤のような変なタイトルながら、中身は素晴らしい。キッズ的な高音と引き替えに中性的な哀愁味を手に入れたマイケルの歌も全開で、壮麗なアップ“We're Almost There”や後にリヴァイヴァル・ヒットする優美なスロウ“One Day In Your Life”など、どの曲も流石に高品質。“We've Got Forever”に“We Are The World”風のパートがあったり、後のマイケル製メロディーの源泉と言える瞬間も随所にあって聴き逃せない。*出嶌
COMMODORES
『Machine Gun』 Motown(1974)
J5の前座も務めた彼らは、73~75年のJ5作品で数多くのアレンジを手掛けたジェイムズ・カーマイケルの後ろ盾を得てモータウンの新たな稼ぎ頭に成長していく。ここから独立したヒゲの男がマイケルと肩を並べてくるのは80年代のことだ。*出嶌
THE SMITH CONNECTION
『Under My Wings』 Music Merchant(1973)
“All I Do Is Think Of You”などを書いてギリギリJ5に間に合ったマイケル・ラヴスミスは、J5にも通じるこの名兄弟グループの出身だった。この後にはラヴスミスや裏方としてモータウンを盛り上げていくことに。*出嶌
JACKSON 5
『Moving Violation』 Motown(1975)
シュープリームス曲をディスコ・リメイクした冒頭の“Forever Came Today”が〈別れの予感〉を滲ませた、ジャクソン5名義での最終作。モータウンに出戻ったブライアン・ホランドが中核を担い、新しい声の使い勝手を確かめるようなマイケルの歌そのものが改めて前面に出されている。フィリー・ソウルを意識したと思しき流麗な作りは翌年のジャクソンズ作品にも直結する雰囲気で興味深い。マイケル・ラヴスミスの書いた名曲“All I Do Is Think Of You”もここに収録。*出嶌
※紹介アイテムは74年作『Dancing Machine』との2in1になります。
BEE GEES
『Greatest』 Rhino
80年代にはマイケルと共作するなど何かと交流のあったギブ兄弟。J5同様に兄弟キッズ・グループを発端とする彼らも、75年の名盤『Main Cource』を出す頃には後期J5に通じるライト・ディスコに転換。肝心のブツは廃盤(怒)なのでベスト盤をどうぞ。*出嶌