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特集

FOREVER CAME TODAY 状況の変化と日々の葛藤(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年10月07日 18:00

ソース: 『bounce』 314号(2009/9/25)

文/林 剛

変声期を迎えて


  正確な時期は不明ながら、マイケルが変声期を迎えたのは14~15歳、73年前後あたりだろうか。ちょうど東京音楽祭のためにJ5として来日した時期と重なるが、この時の大阪公演を収めた『In Japan!』を聴いてみると、確かに高音を出すのが苦しそうだ。おそらく声変わりのせいだろう。そんな感じで、この頃からJ5はマイケルのキッズ感を売りにすることが難しくなっていき、J5の楽曲制作からはベリー・ゴーディJr率いるコーポレーションが撤退。もっとも、撤退の理由は、ゴーディが映画制作に熱を上げ、J5よりダイアナ・ロス(の女優業)に力を入れはじめたからというのが真相のようだが、それでもマイケルの声変わりがコーポレーションの作る快活なサウンドと相容れなくなったということも大きかったはず。そんな変声期を乗り切ろうとしたのが、コーポレーション抜きで作られた初のアルバム『Get It Together』(73年)である。このアルバムは、変声期の不安定な歌声をまぎらわせるかのように、ノーマン・ホイットフィールド作のサイケデリック・ソウル曲などを採用してサウンドの斬新さに耳を向けさせるような作りになっていた。結果、表題曲はR&Bチャート2位を記録。しかし、この頃のJ5はヒット・チャート的には低迷気味。同じ頃にはメンフィスのジャクソン兄弟とでも言うべきシルヴァーズも登場し、J5の後を追ってきていた(皮肉にも、コーポレーションにいたフレディ・ペレンはこの後シルヴァーズに大ヒットをもたらす)。声も変わり、身体も大きくなったマイケルは、もはや皆のマスコットではなくなっていたのだ。

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