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TALK SESSION――矢野博康 × 土岐麻子 × コトリンゴ、豪華作家陣によるスペシャル鼎談!!

 宮川弾、堀込高樹(キリンジ)、奥田健介、西寺郷太(NONA REEVES)など、前作同様、豪華アーティスト陣が強力にバックアップした南波志帆のセカンド・アルバム『君に届くかな、私。』。bounce.comでは、そのなかからプロデューサーの矢野博康と、作家として参加した土岐麻子、コトリンゴによる鼎談を開催。三者三様の視点から浮かび上がる〈16歳にしか歌えない歌〉とは? そして、そんな歌を〈呼ぶ〉シンガー、南波志帆とは――?

こういう歌が録れて、〈ほほー〉みたいな感じ

――女子アイドルと言ってもいいでしょうし、シンガーと言ってもいいでしょうし、16歳のニューカマーのために名だたるミュージシャン3人が集まるなんてすごいことだと思うんですが……話はまず、ファーストの『はじめまして、私。』から始めますか。この作品はイマドキの女の子のポップスにはありそうでなかった作品になりましたよね。そのあたりはプロデューサーの狙い通りのものができた感じですか?

矢野「そうですね。なんとなく、ですけどね。ピンポイントで特定のリスナー層に落とし込もうって感じではなかったけど、こんな感じになればいいなあ、ってのはありましたよ、ファーストは」

――それを踏まえてのセカンド『君に届くかな、私。』になるわけですけど、制作するにあたってのテーマはどんなものでした?

矢野「ファーストの後に、東京ディズニーリゾート(R)25周年記念のトリビュート・アルバムでディズニー・ソングのカヴァーをやったんですよ。メリー・ポピンズの曲を。それも含めて、少しずつだけど彼女の歌にいろんな表情がついてきたなあと思ったんで、テーマを決め込むよりは様子を見ながらやっていこうと思って。春から上京したということもあるし、〈一個ずついろいろ試しながらやっていきますか?〉って感じですかね」


Photo by RyoNakajima(SyncThings)

――作家陣は前作から引き続きという方もいらっしゃいますけど、曲を発注するにあたって前作とは違うディレクションがあったりしたんですか?

矢野「あんまりなかったかな。ファーストは、サウンドのイメージがある程度は先にあって、みたいな発注が多かったんですけど、今回はもうちょっとザックリしてましたね。どんなタイプがきても志帆ちゃんに合うだろうって思ってたんで、ボンヤリしたイメージ、抽象的な感じでお願いしたことが多かった。今回は、どっちかというと歌詞ですかね。そんなに細かくは言わなかったけど、ファーストはモロ〈恋の歌〉みたいなのがなかったので、セカンドではもうちょっと〈自分と誰か〉みたいな感じで。対象は家族でもボーイフレンドでも誰でもいいんだけど、そういう世界観を歌うことで、彼女の年頃ならではのものが出てくればいいなあと思って」

――確かに、今回のアルバムの歌詞はより日常が見えるというか、16歳の青春像が見えますよね。そこにこだわっているぶん、サウンドは自由に投げてる感じで。

矢野「そうですね。サウンドは8曲バラバラでもいいかなとは思いつつ、そのへんは最終的に僕がディレクションすればそんなにガタガタしないかなあって。やっぱり、詞かなあ。家族と離れるとか、彼女自身の生活環境が変化するタイミングでもあったし、わかりやすく節目の時期だったから、そのへんのイメージとかは織り込みたかったですね。そういう日常の情報を加味して、みんな書いてくれたんじゃないですかね」

――堀込高樹さんが書かれた“プールの青は嘘の青”とか、すごく大人な歌詞だなあと思って感心しました。こういうのをサラッと歌っちゃえるんだなあって。

土岐「ハマってますよねえ」

矢野「ちょっと夏を思い出してる感じの詞で。最初、高校生が中学生の頃を思い出すっていうディレクションで、彼女なりのイメージで歌ってたんだけど、大学生が高校時代とか、OLが10代の頃とかを思い出しているような気持ちになってみようか、みたいな話をして(笑)」

――ちょっと背伸びした目線で。

矢野「そしたらこういう歌が録れて、〈ほほー〉みたいな感じですね」

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年09月16日 18:00

更新: 2009年09月16日 18:03

文/久保田泰平

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