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鈴木慶一 × 鈴木惣一朗スペシャル対談! リマスター盤から〈ビートルズ伝説〉を大検証!?(6)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年09月09日 18:00

更新: 2009年09月09日 18:25

文/村尾 泰郎

“Love Me Do”――〈モノ・ボックス〉に期待が高まる

――また裏が取れましたね(笑)。では慶一さん、次はどれいきましょう?

慶一「超初期で“Love Me Do”はどうかな? これってモノ(ラル)しかない時代でしょ」

――“Love Me Do”を聴き比べ中――

――いかがですか?

慶一「これは〈モノ・ボックス〉が期待できるな。なぜかって言うと、さっきから言ってる〈部屋が広くなった、よく見える〉っていうのは、モノで見えるのがいちばん理想的だと思うんだよね。モノラルなのにステレオに聴こえるような錯覚に陥るような。この曲には、それがありますよ」

惣一朗「今回の〈モノ・ボックス〉って、ニクいことをやってくれたなって思いますね。例えば『Rubber Soul』をステレオでしか聴いたことのない人たちがモノラルを聴く。解像度は上がっているし、新鮮な体験だと思うんだよね」

――モノラルの良さ、というのはどういったところでしょう?

惣一朗「すべての音がそこに入っている、ってことかな。例えばフィル・スペクターが〈ウォール・オブ・サウンド〉という名のもとに、いろんな音をわかりにくく混ぜて音楽に封じ込めた。それによって、聴く側の想像力が聴くたびに刺激されるわけ。だからモノラルのレコードの響きはいまでも素晴らしいし、蓄音機のワンホーンでレコードを聴くと感動する。現在の音楽はすべてステレオ・ミックスされているから、若い世代のリスナーは体験したことがない音かもしれないけど」

――音がクリアになりすぎて、サウンドの中身が種明かしされることによって失われるものがあるということですか?

惣一朗「時として、音が鮮明になることで感動が薄れることもあるんですよ。僕は〈モノラルのアナログ盤の良さを、デジタルのCDが超えられたのか?〉っていうところで、疑問視してるところがあるから」

慶一「俺、前のアルバム(『ヘイト船長とラヴ航海士』)の時にアナログを作ったのよ。それを聴いた時、久々にたまげた。自分の作品なのに」

惣一朗「それって、曽我部(恵一)君のジャッジですか?」

慶一「そう。曽我部君のジャッジで曽我部君のミックスなんだよ。空間の奥行きが見えるんだよね」

――じゃあ、今回のビートルズのモノ・ミックスでもそういう驚きがあるかもしれない?

慶一「と思うんだよ。それを期待してるんだけど。ステレオ・ミックスのほうは、さっきから言っているように伝説の確認(笑)」

惣一朗「〈うむうむ〉みたいな(笑)。確かビートルズは〈ホワイト・アルバム〉までモノラルで作られてるんですよね」

慶一「〈ホワイト・アルバム〉のモノはスゴいもんね」

惣一朗「“Buck In The U.S.S.R.”は、飛行機が遠くから近づいてくるから。横のパンじゃなくて」

慶一「ステレオだと横移動だけど、モノラルは奥行きになる」

惣一朗「その日の体調で聴こえ方も違ってきたりして。毎回違うわけですよ。斜めから飛行機が来てる感じもするし。ホントにモノラルってそういうふうに聴こえますよね」

慶一「右チャンネルはこれ、左チャンネルはこれ、っていうふうに音が限定されていないからね」

――そこがモノラルのおもしろいところなんですね。

慶一「ビートルズが初めてステレオのレコーディング技術を意識して作ったのが『Abby Road』かな。最後にギリギリ間に合った」

惣一朗「そうですね」

慶一「簡単に言うとリンゴのドラム・ソロだな。〈ドドン・ドドン・ドドン・ドドン・ドドン(左右に振り分けてドラムを叩く仕草)〉。あれさ、モノでやったらつまんないと思う」

惣一朗「なるほど。〈ステレオだからドラム・ソロやれ〉ってなったんでしょうね、2タムになってるし。きっと、そうですよ。ありがとうございます! またひとつ積年の思いがあきらかに(笑)。リンゴ・スターはドラム・ソロ大嫌いなのに、その嫌いな人になんで〈ドラム・ソロやれ〉って言うことになったのか? あれはステレオ録音で、タムが2つあったからなんですね。だからリンゴもその気になった。〈(音が)左右に流れるよ〉って。きっと、いや、絶対そうですよ」

――それを定説にしましょう、ここで(笑)。

惣一朗「ビートルズ刑事2人が言ってるんだから(笑)。でも、いいですよね、あのドラム・ソロ」

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