INTERVIEW 第1回――歌いたいけど、歌いたい内容が見事になかった20周年記念アルバム(2)
〈アルミ箔〉とかそういう単語を言葉にして発したいだけ
――結成された日はいつになるんですか?
瀧「正式な結成日? 知らない」
石野「憶えてないな。そんなの大体でいいんだよ」
スタッフ「1989年4月27日が結成日になっていますね」
石野「何を根拠にしてんだ?」
スタッフ「(プロフィールには)〈初台デニーズにて電気グルーヴ結成される〉とありますね」
瀧「〈初ライヴは8月20日、大阪・十三ファンダンゴ〉。ウルフルズか、っつー(笑)」
――『20』は電気グルーヴ的にはオリジナル・アルバムというより、20周年記念の企画盤というニュアンスが強い?
瀧「まあそうなんだけど、ミニ・アルバムとかだと別枠にされがちだし、どうせ作るんならちゃんと作品としてカウントされるアルバムにしようと」
――全曲歌ものというのも先祖返り感がありますね。
石野「歌を歌おうってのは最初からあった。いまさら20周年記念アンセムって言われてもって感じもあるしさ。全曲歌のある曲を作って、近しい友達とかスタジオに呼んでワイワイやるのが相応しいんじゃないかなんて言ってたらとんでもない、まったく2人っきり(笑)」
瀧「あれ? 何のためにレコーディングしてんだっけって(笑)」
石野「曲を作ったはいいが、途中から目的が別になっちゃってさ。うちらのファンクラブの会員証ってポータサウンドで作ってるような非売品のCDなんだけど、それ作ってる感覚だったよな」
――ゲストを呼んで賑やかなお座敷にするのも、この前のライヴみたいに電気のアニヴァーサリーにはあり得る話ですがね。
瀧「最初はせっかくなんで、縁のある人たちを呼んで、なんて言ってたんだよ」
――アルバムを聴くと、いつになく今回は歌いたい欲が高まっているように感じましたが?
石野「歌いたかったんだけど、歌いたい内容が見事にないんだよ(笑)」
瀧「歌いたいっていうか、声に出して言いたいのが〈アルミ箔〉とかだからさ(笑)。そういう単語を言いたいだけ、言葉にして発したいだけ」
――その語感の強烈なインパクトとかおもしろさは、20年来のファンにはこたえられない快感に似たものがあるのでは?
瀧「まあね。ただ当時15歳のファンも、いまや35歳前後だからねぇ。喜ぶのかね?」
石野「電気のライヴはクラブでDJやる時とあきらかに匂いが違うからね。若い娘の匂いがしない(笑)」
――その割にはえらく楽しそうにライヴやってましたよ。MC止まらなかったじゃないですか?
石野「20周年記念ライヴもあれ1回こっきりだからね。考えたら、20周年だからって自分らでいろいろ企てるのもおかしな話じゃん?」
瀧「そうだよ。自分の誕生日パーティーを自分で仕切ってケーキ用意するようなもんだよ(笑)」
石野「記念ものの企画ってこっちから言い出したことはないんだよ」