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カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年07月08日 18:00

文/村尾 泰郎

  青春は答えのないモヤモヤ。頭のなかには夢というより妄想をたっぷり詰め込んで、迷走する10代の姿を描き出した映画が「色即ぜねれいしょん」だ。原作はみうらじゅんの自伝的小説で監督は田口トモロヲ。以前、同じ組み合わせで「アイデン&ティティ」を映画化している盟友コンビだ。キャスティングがまたユニークで、主役の乾純を演じる渡辺大知(黒猫チェルシー)を筆頭に、峯田和伸(銀杏BOYZ)、岸田繁(くるり)、大西ユカリといったミュージシャンが出演。純の両親をリリー・フランキーと堀ちえみという異色カップルが演じ、冒頭の純の妄想シーンに宮藤官九郎や大杉漣、友達の父親役に木村祐一が登場している。

  舞台になるのは74年の京都。仏教系男子校に通う高校一年生、乾純はボブ・ディランに憧れてロックな生き方を夢見るものの、優しすぎる両親に反抗する理由もない。ヤンキーが幅をきかせる学校では肩身が狭いし、片思いの女子には声もかけられない……。そんな文系男子の悶々とした日々のなかで、友達から〈フリーセックスの島〉に行かないかと誘われた純は、ギターを持ってミュージシャン気分で旅に出る。そして、そこで女子大生のオリーブに知り合ったことが純にとってのサマー・オブ・ラヴの始まりだった。

 そんな風に映画の前半はラヴ&セックスに奔走する青春群像が描かれながら、やがて物語は様々な出会いと別れを通じて純の内面の変化を映し出していく。そのハイライトとなるのが学園祭のコンサート・シーンで、ここで渡辺大知のロック魂が炸裂! 純が大きく変わっていくきっかけがロックであり、オリーブに愛を語る時も、ヤンキーに認められる時もロックが重要な役割を果たしている点からは、みうら×田口コンビのロックに対する熱い想いが伝わってくる。だからこそサントラは重要で、みうらじゅんが高校時代に書いた歌詞を、大友良英が70年代の匂いを感じさせる楽器とアレンジで作曲しているのも話題のひとつだ。ロックが10代のモヤモヤから生まれた音楽ならば、「色即ぜねれいしょん」はロックそのもの。スクリーンの彼方から、青春の鼓動がラウドに鳴り響いてくる。

※映画「色即ぜねれいしょん」――8月15日(土)シネセゾン渋谷、新宿バルト9、吉祥寺バウスシアターほか全国ロードショー

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