こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

スペシャル・ロックンロール対談! みうらじゅん×渡辺大知(黒猫チェルシー)(3)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年07月08日 18:00

文/村尾 泰郎

エンディングはやっぱ、村八分でしょ

――自然体でいながら、カッコ良く見せられるというのがディランの魅力ですよね。そういえば今回、渡辺さんは映画のクライマックスで歌ってるじゃないですか。演出的には「自由に歌え」みたいな感じだったんですか?

渡辺「あれは、クランク・インの前に練習した時は歌えなかったんです。監督の(田口)トモロヲさんと助監督さんの2人が見てるとこでギターを渡されたんですけど、なんか歌えなくて」

――気持ちがのらなかった?


写真/小松貴史

渡辺「なんか、ヘンな顔とかできなくて(笑)」

みうら「それはのらないよね、相手は2人だもんね(笑)」

渡辺「で、どうしようと思って。監督さんには〈普段、渡辺くんがやってるバンドでライヴをしてる感じでいいから〉って言われてたんですけど……。クランク・インしてから、あんまり演技がうまくいかなくて、納得いかないというか、全然わからないまま撮影が進んでいってたんです。演技もできなくて歌も下手やったら、映画を観てくれる人に〈お前、なんで映画出てんねん?〉て言われそうな気がすごいしてたんですね。そやから文化祭のシーンは、僕がいまいちばんがんばっている音楽で勝負というか、絶対、文化祭のシーンの本番はバッチリ決めたろ!って思ってたんですよ。だから、意気込みでもったみたいなシーンで。監督からも〈めちゃめちゃカッコ良くてイイ〉と言われたので、もう勢いでやりました」

みうら「あれ、フォークからロックに変わった瞬間だよね。だからカッコ良いんだよね。俺はああいうのに憧れてたんだ。ギター1本でもロックっていうことにね」

――みうらさんが実際に文化祭で演奏した時は、どんな感じだったんですか?

みうら「いままで冴えなかったけど、何のために学校に来てるのかよくわかんないようなやつだったけど、その時だけは、恥ずかしいけどハジケたいと思った。フォーク・コンサートの昼の部にエレキを持って歌ったんですよ。それはボブ・ディランがフォーク・フェスティヴァルでいきなりエレキを弾いた、っていうのを自分でもやりたくて(笑)」

――自分のなかで物語ができてたわけですね(笑)。

みうら「そうそう。ちゃんとブーイングもされて(笑)。でも、映画と同じように、僕の演奏を観たヤンキーだけが〈よかった〉って言ってくれたんです。僕、そこで変わったから。すごい嬉しかった。やっぱり、渡辺くんの話じゃないけど、ここ一番での勝負は一回だけ。自分の好きなことで勝負したというのがあったんで。でもそれが、いい歳になってもそこだけは諦めきれずまだ思ってるけどね。漫画とか文章とかじゃなくて、音楽なんですよね。でも、渡辺くんたちは天性のものを持ってるけど、僕はやっぱりそれがなかった。だから、いまでもずっと憧れてるから、映画の渡辺君みたいに〈変わる感じ〉とかすごく好きだな。すごくいいエンディングだなと思ったけど」

――渡辺さんが劇中で歌った“エロティシズム・ブルー”は、みうらさんが高校生の時に書いた曲だとか。

みうら「高校卒業するまでに420曲ぐらい曲を作ったけど(笑)、“エロティシズム・ブルー”はヤンキーからオーダーがあって作った曲なんですよ。自分は決して人前では歌いたくなかった曲だったし、(歌詞に出てくる)〈オバンの腰巻き〉なんて俺、どうでもいいし、興味もないし(笑)。でも、〈ヤンキーはこんな歌を歌うやろ〉って作った曲が学園祭で大ウケしちゃってビックリした。それがすごいショックで、〈歌って歌詞とかじゃないかもしれない〉と思いましたね。やっぱり、ヤンキーって人を惹きつけるフェロモンがあるんですよ。映画でもそうだったけど、渡辺くんが演じた主人公には、ヤンキーには持ってるフェロモンがなかった。それが最後にハジけてああなる」

――渡辺さんは今回、出演もしている岸田(繁)さん、峯田(和伸)さんと3人で、主題歌の村八分“どうしようかな”をカヴァーしていますが、レコーディングはどんな感じで進んだんですか?

渡辺「全員、別々の日に録ったんですよ。僕は黒猫チェルシーのライヴの後にメンバーと一緒に歌いに行って。だからメンバーにもコーラスをやってもらってるんですけど。(音楽担当の)大友(良英)さんとトモロヲさんにも聴いてもらって」

みうら「3人それぞれに個性があるけど、カッコ良さが似てるんだ。だからすごいミックスされてる感じがした」

渡辺「(レコーディングは)僕が一番最初だったんですよ。だから誰の歌も入ってなくて、トモロヲさんの仮歌が入ってた(笑)。そやからトモロヲさんが歌ってるのに被せて歌ったんですけど、〈岸田さんとか峯田さんはどうやって歌うんやろう?〉と思いながら、ライヴの余韻で歌いました」

――ライヴの勢いをそのまま?

渡辺「いや、ちょっと疲れてたから〈アゲなあかん、アゲなあかん〉って気分を持ってきて。でも、後で岸田さんと峯田さんのパートを聴いて、〈こんな遊んでるんや〉と思って。俺も、もっと遊んだらよかったと思いました(笑)」

――みうらさんは主題歌を聴かれてどうでした?

みうら「すごいカッコ良かった。〈アイデン&ティティ〉のラストの“Like A Rolling Stone”みたいにカッコ良かった。その“Like A Rolling Stone”の衝撃があるぐらい、3人の声がすごい良かった。あれ、俺が高校の時に聴いてたらCD買ってるわ。あの曲を俺とトモロヲさんとリリー(・フランキー)さんで録り直さないか?って話があって、〈いや、もうそんなオヤジバンド、いらないじゃん〉って言ってるんだけど(笑)」

渡辺「あの曲はギターがすごい気に入ってるんですよね。大友さんが弾いてるんですけど。あのイントロ、原曲の“どうしようかな”を超えてるなと思って。生意気かもしれないですが、いいカヴァーの仕方というか」

みうら「映画のための曲みたいだよ、あれ。よく合ってると思う。はじめから〈やっぱ村八分でしょ〉って、トモロヲさんが言ってた。エンディングはもう決めてたみたいで」

インタビュー