MAJOR LAZER
昔からずっとレゲエにハマってるんだよ
ジャマイカの特殊部隊に属していたメジャー・レイザーが、ディプロ&スウィッチという旬な才能のサポートを得て、ついにアーティスト・デビューを果たした。84年に彼はゾンビとの戦いで腕を失うが、米軍に救出されてそこにレーザー砲を装着し、現在に至るまで秘密裏にスパイとして行動してきた男である。そして、タフ・ゴング・スタジオにおけるレコーディングを経て完成したのが『Guns Don't Kill People...Lazers Do』なのだ。ただ、肝心のレイザー自身はコンタクトが取れず、大忙しのスウィッチは捕獲できず。で、多忙ながらも短時間だけ捕まえることのできたディプロに、今回のプロジェクトについて訊くことにした。
80年代のレゲエにインスパイアされた
──まあ、そういう設定のプロジェクトということですが、そもそもメジャー・レイザーというキャラクターはどこから生まれてきたの?
「そりゃ、もちろんヤツのオフクロのお腹からオギャーって飛び出してきたんだろ(笑)」
──そうじゃなくて……。
「それは冗談として、きっかけは俺たちがいままで聴いてきた大量のレゲエLPなんだ。最近のもオールド・スクールも含めて、俺もスウィッチも数えきれないほど聴いてきたんだけど、ある時80年代のレゲエのLPを聴いてて、自分らも一発やってみようぜって決めたんだ。すぐに音作りを始めて、キャラとかストーリーも考え出した。名前についてはスウィッチとアイデアを出し合ったんだけど、偶然にメジャー(大佐)って単語とレイザーって単語がどこかで目に入ったんだ。それでその2つを組み合わせてみたんだ。順番はあんまり考えずにやってて、自然にいろんなものが出来上がってきたって感じだね」
──アルバムのタイトルは?
「〈NRA〉って知ってるかい? 全米ライフル協会っていう団体なんだけど、そこのスローガンで〈Guns Don't Kill People, People Do.〉ってのがあるんだ。それって連中にとっちゃ責任逃れなんだよな。〈悪いのは銃じゃない。銃を悪用する人間が悪いんだ〉ってさ。とにかく、そのスローガンをもじったってわけさ。今度は俺たちが〈銃が人を殺すんじゃない。レーザーが人を殺すんだ〉って言ってるんだ。そう言って人類全体の責任逃れをしてるんだ。だからある意味ではNRAへの見せしめかもしれないね。それに、スティーヴン・セガールとかジャッキー・チェンとかの映画タイトルにでも使えそうじゃない? 最高にクールなフレーズだろ? そんな感じさ」。
──スウィッチと組むきっかけはM.I.A.やサンティゴールドの作品でいっしょにやったこと?
「ああ。ただ、その前にはロンドンのファブリックでも共演してて、そこで出会って意気投合したんだ。そこからだな、いっしょに本格的な曲作りを始めたのは。それに話も合うんだよね」
──ファブリックといえば、〈Fabriclive〉のあなたのミックスCDを聴いた時からこういう作品もありえる気がしてたんですよ。タービュランスやニーナ・スカイ、あとスウィッチとか、今回のメジャー・レイザーに繋がる人の曲がけっこう使われてたりして。その頃から念頭に置いていた?
「まさにその通りだよ。実際、俺のデビュー・シングル“Diplo Rhythm”もヴァイブス・カーテルをフィーチャーしたダンスホールだったしね。その後にはM.I.A.のアルバム2枚にもダンスホールのヴァイブを採り入れた。最近だとマッド・ディーセントにいる仲間、サウス・ラッカス・クルーとかね。彼らもとてもクールだよ」
──そもそも、ダンスホールやレゲエのどういった部分に惹かれているのでしょう?
「それは……言葉じゃ説明できないな。ただ言えるのは、相当ハマってるってこと。昔っから街を歩きながらヘッドフォンでよく聴いてたし、特に俺が育ったフロリダはレゲエがハンパなく盛んで、クラブではいつもプレイされてた。フロリダにはキューバ人もドミニカ人もジャマイカ人もハイチ人もいて、奴らはダンスホールばっか聴いてる。だから俺も自然にハマったんだよ」
──最近のお気に入りは?
「いっぱいあるよ。特にスティーヴン・マクレガーの作る曲はほとんど全部気に入ってるね! 超フューチャリスティックなリディムをいっぱい作ってるんだぜ」
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