Elvis Costello
エルヴィス・コステロ。字面を眺めてつくづく思う、いい芸名だなあと。コメディー映画〈凸凹シリーズ〉の名コンビ=アボット&コステロとエルヴィス・プレスリーのことを、嫌でも同時に思い出させてしまうこの名前。本稿の主役がアングリー・ヤングマンだった時代は、新聞記者風の格好やバディ・ホリーっぽい黒縁メガネなどと絡めて、ヘンな奴だとしょっちゅういじられていた記憶がある。しかも、その期間は結構長かったはず。筆者が彼の音楽に出会ったのはニューウェイヴがまだ影響力を誇っていた時期。もはや新人とは呼べないほどのキャリアを積んでいたけれど、〈コステロ音頭〉なんて邦題(“The World And His Wife”が元のタイトル)を与えても許されるキャラだった。しかしあの頃はヘンな奴が強かったんだ。既成の枠からはみ出すような変わった音楽を届けてくれる奴こそヒーローであり、この〈エルヴィス・コステロ〉という変わった名は信頼のブランドであった。まあ、いまなおブランド名として定着してはいるものの、どういう目線で見られているのだろう? “She”や“Smile”を聴きながら、〈コステロ音頭〉のことがよぎったりする人は少ないのかもしれないが、それもまたコステロ的な楽しまれ方であったりする。
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