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特集

凛として時雨(3)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:40

文/久保田泰平

目の前だけを見てやり続けたい

 行き当たりばったりでありながらも確実に自身の音を築き上げ、2004年の本格的な活動開始以来、着実に、いや、急速にその存在を知らしめていった彼ら。昨年は各地の夏フェスで多くのオーディエンスを沸かせ、ワンマン・ツアーにおいても新木場STUDIO COASTや赤坂BLITZといった大バコをソールドアウトさせるなど、最初から最後までクライマックス尽くしだった彼らだが、このたび1年9か月ぶりとなるニュー・アルバム『just A moment』を完成させた。アコースティック・ギターが疾風のように駆け抜ける“Tremolo +A”、初のインスト・ナンバー“a over die”、あらかじめプレイしたリズムをもとにサンプリング的手法で作り上げた“a 7days wonder”など、これまでの音楽性をさらに拡大、深化させ、ポップ・フィーリングが増した印象すら与える本作だが、彼らにしか生み出せない不動の世界観は相変わらず圧巻だ。

 「こういうものを作りたいっていう意識がまったくない状態でいつも作るので、結果としてポップに聴こえたのかなってぐらいの感じですね。すごくポップなものを作ろうとしたわけでもないし、激しいものを作ろうっていうのもなかったし、ただ、言葉の表情なんかからいつもよりも聴きやすくなったのかなって気はしますけどね。アコギの曲やインストとか、新しい試みに関しても、何となくの流れでっていう感じ。結構偶然閃いたものとか、そういうのを時雨のなかに落とし込む作業っていうのは楽しかったりしましたし、時雨のキャパシティーを少し、いつもより開いてみたような感じはありますね。別に真新しいものを作らなきゃいけないって思ってるわけじゃないし、いまの自分たち、3人が出せる音っていうのをロスすることなく出すっていうそれだけなので、その結果がこのアルバムです」(TK)。

 とにかく、頼もしいばかりの作品をまたも届けてくれた彼らだが、凛として時雨というバンドが誇るべき〈強さ〉とは何か?と最後に訊ねてみた。

 「目の前しか見てないところじゃないですか(笑)。それをあえて掲げてやってるわけではないですけど。先が見えない状態から何かを生み出す作業は瞬間的に辛いときもあるけど、見えた瞬間は嬉しいし、いつかこの3人で出す音が終わることがあれば、その瞬間までは目の前だけを見てやり続けたいっていう気持ちがあるんで……うん、だから自分たちのことをうまく説明できないですし、新しいことをやってるつもりもないっていうか。それは弱みかも知れないですけど、僕らにとっては強みだと思ってます」(TK)。

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