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特集

日本のロック・スタンダード・アルバム54(6)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:40

文/岡村詩野、加藤直子、北爪啓之、鈴木智彦、ダイサク・ジョビン、土田真弓、出嶌孝次、冨田明宏、宮本英夫

15>はっぴいえんど

風街ろまん URC/ポニーキャニオン(1971)

〈日本語ロックの始祖〉という評価やメンバーのその後の活躍を抜きにしても、彼らの残した音楽は十分に刺激的。古風な香気漂う日本語詞とマニアじみた洋楽志向のサウンドとの絶妙なマッチングによる佳曲が満載なうえに、大滝詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆、各人の個性が明瞭に発揮されて結晶化したこの2作目は、いまだに聴く者を〈風街〉という虚構の風景へと誘う、魔法のような傑作だ。*北爪

14>チャットモンチー

生命力 キューン(2007)

群を抜く稀代のメロディーメイカーであり、グッとくる歌詞のクォリティーの高さであったり、力強くも耳に心地良いヴォーカルとか3人編成による強靭なアンサンブルの完成度、時に切なくも凶暴なギターにオルタナティヴな感性によって次々と繰り出されるフレッシュなアレンジの数々といい、日本のロックを革新する新世代の筆頭格バンド。豊富な音楽性にもその才能がくっきりと浮き出ている。*ジョビン

13>遠藤賢司

東京ワッショイ ベルウッド(1979)

本作は96年の『夢よ叫べ』と並んで、人間力が最終的にロックンロールを形成するという、一見甘い理想のような、でもまぎれもない事実を突き付けてくる黒光りした刀のような作品だ。高田渡、三上寛と共にフォーク時代に生を受けたロックンローラー、エンケン。パッションこそすべて――いまなおライヴのハイライトではそんなテーゼを掲げたタイトル曲を熱演し、興奮の坩堝へと導く。*岡村

12>キャロル

ルイジアンナ 日本フォノグラム/ユニバーサル(1973)

レコード・デビュー前(ハンブルグ時代)のビートルズを模した、リーゼント&革ジャンで50'sのロックンロール・ナンバーを荒々しくプレイするというスタイルで一世を風靡した〈不良バンドの元祖〉による初作。日本語詞によるオリジナルも含めて、ただの模倣を超えた危険かつロマンティックなバンド・サウンドと矢沢永吉のクールでカッコ良すぎるヴォーカルが放つ魅力はやっぱり別格。*ジョビン

11>寺尾 聰

Reflections EMI Music Japan(1981)

高度に構築された楽曲構造とアレンジメント、クールで粋な大人の佇まい――ウェストコースト・ロック&AORの最高峰であるスティーリー・ダンへのオマージュとも取れる、洗練を極め尽くした異次元な仕上がりの一枚。高級感漂うバンド・サウンドと、ダンディズムに貫かれた歌詞、そしてセクシーな低音呟きヴォーカルとのマッチングも奇跡的で、普遍/不変のカッコ良さを誇っている。*ジョビン

10>ナンバーガール

SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT EMI Music Japan(1999)

現在の日本のロックは、美メロやわかりやすいリリックが花盛り。もしいまこんなバンドが出現してもメジャー・レーベルは契約する勇気なんて持てなかったかも!? 洋楽は英詞なので聴かない!という若者が増殖するなか、ではせめてこのバンドを聴いてくれ(歌詞は聴き取り難いけど)! ニール・ヤング~ピクシーズ~ソニック・ユースのラインを果敢に東洋の島国で継承したナンバーガールの2作目だ。*鈴木

9>佐野元春

VISITORS エピック(1984)

魔法を信じる子供の感性を大人びた顔で紡ぎ出す才人の到達点。散文詩を吐く日本語ラップ最初期の一曲“コンプリケイション・シェイクダウン”、生来のスプリングスティーン感も残した軽快なロックンロールの“トゥナイト”や勇壮な“ニュー・エイジ”など、渡米中に制作したことで却って母国語のリリシズムに意識が寄せられていて美しい。いつ聴いてもどことなく未完成で新鮮な閃きに満ちた大傑作。*出嶌

8>サザンオールスターズ

熱い胸さわぎ TAISHITA/ビクター(1978)

サザン・ロックやニューオーリンズ・ファンク、ラテン・ロックなど灼熱の太陽と心地良い南風を感じさせる赤道に近めなサウンドをベースに、歌謡テイストを混ぜたオリジナリティー溢れる祝祭的音楽性によって、まるで大型台風のようにシーンに登場した衝撃の一枚。高度な作曲法と演奏能力に加え、破天荒でソウルフルな桑田佳祐のヴォーカルと独特の詞世界が痛快で、とにかく楽しすぎる。*ジョビン

7>X

Jealousy キューン(1991)

凛々とした血の雨。前作の正面衝突もとんでもないが、アルバム全体を通底する不思議な一体感はこちらが上。刹那的な瞬殺ナンバー“Silent Jealousy”を最初の絶頂に据え、スラッシュの“Stab Me In The Back”、TAIJIの男気アメリカンな“Desperate Angel”、HIDEらしく賑やかな“Joker”など、バンドとしての厚みが活きる良い曲だけを盛り込んだらこうなった的な大作だ。何とも言えないジャケも最高。*出嶌

6>フリクション

軋轢 PASS(1980)

彼らの音楽に迷いというものは一切ないが、とりわけこの初作で提示した徹底的に鋭利でメタリックなサウンドからは強烈な意志を感じる。抑制を利かせた坂本龍一のプロデュースに賛否はあるものの、トリオ編成とは思えぬ強靭極まりないビートとレックの音節断絶ヴォーカルは、当時のNYパンク~ノーウェイヴと同質のヒリヒリした緊張感に満ちていて、日本ロック史に比類がない。*北爪

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