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特集

日本のロック・スタンダード・アルバム54(3)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:40

文/岡村詩野、加藤直子、北爪啓之、鈴木智彦、ダイサク・ジョビン、土田真弓、出嶌孝次、冨田明宏、宮本英夫

42>サニーデイ・サービス

東京 ミディ(1996)

ほぼ駄作ナシと言ってもいい彼らだが、とりわけこのセカンド・アルバムには一種独特の魅力がある。70年代のフォークやロックを瑞々しい感性で蘇生させたような楽曲は、狂おしいほどノスタルジックなのに、強烈に〈いま〉を感じさせるから不思議だ。青年期のささやかな心象風景を桜色の靄で覆われる永遠の世界に封印した、稀有な名盤。*北爪

43>GREAT3

Richmond High EMI Music Japan(1995)

AORやソフト・ロックなどを巧みに消化したハイブリッドなポップ感覚が眩しいデビュー・アルバム。けれど、本作の真価は片寄明人の描くやり場のない諦念と喪失感に満ちた歌詞にこそある。甘いヴォーカルとポップなメロディーに彩られた〈1%の希望と99%の絶望〉の歌。これほど赤裸々で自嘲的で、そして嘘のない音楽を他に知らない。*北爪

42>あふりらんぽ

URUSA IN JAPAN キューン(2005)

アフリカ奥地に住む原住民の音楽を現代の関西の地下世界で野蛮女子が再現したら……なんてことを空想させちゃうインディー時代の曲や新録曲も含むメジャー・デビュー盤。オニ(ギター/ヴォーカル)とピカ(ドラムス/ヴォーカル)の演奏は一見無防備でいてかなり計算されており、ほとんど洗練されたパフォーミング・アートというべき瞬間も多い。*岡村

41>サンボマスター

サンボマスターは君に語りかける ソニー(2005)

問答無用に人の心のなかへドカドカと踏み込んで、自分が見て見ぬふりしていた内なる膿を強引に、そして優しく吸い取ってくれる――初作のヒットを経て、彼らの人気を決定付けたこちらは、ソウルやファンクのエキスを暑苦しく滲ませたむせ返るような音と共に、聴き手の心の襞にますます触れてきた。日本語ロックである意義が、この作品にはある。*加藤

40>BUCK-TICK

狂った太陽 ビクター(1991)

ポジティヴ・パンク、ニューウェイヴ、ゴシック・ロックなどさまざまなスタイルを経て、時代を映すべくポップでダンサブルなデジタル・ロックへと突き抜けた5作目。〈元祖ヴィジュアル系〉のひとつに数えられるバンドだが、この作品に代表される〈時代に即したポップさと過激な実験性〉との高度なバランス感覚にフォロワーはいない。*宮本

39>EP-4

昭和大赦 リンガ・フランカ1 コロムビア/Solid(1983)

〈No New York〉一派やブリストル界隈への京都からの回答――いまとなってはそんな歴史的立ち位置のなかで燦然と輝く佐藤薫によるEP-4。活動期間は短かったものの、ダブやファンクを消化させた肉感的かつクールなグルーヴが何より魅力だった。ジャケットは80年に神奈川で起こった金属バット殺人事件の藤原新也撮影による現場写真。*岡村

38>ストリート・スライダーズ

天使たち エピック(1986)

ストーンズ譲りのダルでルーズな横ノリのロックを血肉化し、追求した、日本では稀有なバンド。ツイン・ギターの変幻自在な絡み具合、そのダイナミックなサウンドがもたらす得も言えぬ中毒的解放感や快楽、カッコ良さは特筆もの。作品全体を覆うクールかつミステリアスで危険な雰囲気は、他に類を見ない独特な魅力を放っている。*ジョビン

37>ミドリ

あらためまして、はじめまして、ミドリです。 ソニー(2008)

〈関西ゼロ世代〉以降を担う4人組の3作目。パンチラ上等で暴れまくるセーラー服姿の女子=後藤まりこのセンセーショナルな存在感に目を奪われがちだが、理性と本能が入り乱れるストラグルな音楽性こそが彼女たちの真骨頂。パンクもフリージャズもノーウェイヴも歌謡曲も祭囃子もひとつに束ねた凄まじい集中力に鳥肌が立つ。*土田

36>Mr.Children

深海 トイズファクトリー(1996)

〈軽やかなラヴソングが得意〉というそれまでのイメージを覆した、彼らの歴史上もっとも内省的なコンセプト・アルバム。出す曲すべてが大当たりという喧騒のなかで、誠実に音楽と向き合おうと必死でもがく音楽家の姿は感動的で、その後の日本のロックの指針としていまも有効だ。“名もなき詩”“花-Memento Mori-”などヒット曲も多数。*宮本

35>チェッカーズ

絶対チェッカーズ!! ポニーキャニオン(1984)

50'sやドゥワップから初期ビートルズ、ビーチ・ボーイズまでのロックンロール・スタイルを基調としつつ、UKニューウェイヴや2トーン的要素も絡ませた音楽性がいま聴いてもフレッシュ! 当時〈ポップ・アイドルか、ロック・バンドか?〉といった論争も生まれたが、ビートルズ同様にその両方ってことを本作で確認できる。*ジョビン

34>内田裕也とフラワーズ

CHALLENGE! コロムビア(1969)

リード・タンバリン(!?)の内田裕也が率いた和製ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー。ほぼ全曲が洋楽カヴァーで占められ、ラメのパンタロンをいかがわしく翻してファズとワウがサイケな直球勝負を奏でる、本場への憧れを清々しいまでに表明したサウンドは否応なく熱い。ケツのデカそうな麻生レミの粗削りな歌唱も素晴らしいな。*出嶌

33>ハバナ・エキゾチカ

火星ちゃん こんにちは ミディ(1992)

Buffalo Daughterの前身というより、日本で最初のヒップホップ・ファンク・グループと紹介すべきバンドのセカンド・アルバム。ライヴはアグレッシヴだったが、本作は小西康陽によるプロデュースでカジュアル・ダウンさせてあるのが肝で、曲そのものはとても人懐っこい。90年代以降もっとも都会的なロック・バンドのひとつ。*岡村

32>想い出波止場

水中JOE アルケミー/Pヴァイン(1991)

日本で土着的に醸成されたロックを我流に解剖し、縫合した、超異端的な一枚。テキトーなトースティングとモンドなダブ加工、フニャフニャしたノイズなどに込められた宇宙的孤高性には、批評や説明を拒否するホンモノの凄みがある。体感するまで掴めない、これぞ真の型にはまらない音楽=オルタナティヴだ。*冨田

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