HATE IT OR LOVE IT 耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
AEROSMITH
『Aerosmith』 Columbia(1973)
ガンズ・アンド・ローゼズやポイズン(ブレット・マイケルズ)をパロってるあたりから、実は往年のLAメタルやハード・ロックが好きなんじゃないかという疑惑もあるエミネム。そう考えると彼らの先輩格にあたるエアロスミスの名曲“Dream On”を“Sing For The Moment”で大胆にサンプルしたってのも頷ける話だ。*升本
THE STREETS
『A Grand Don't Come For Free』 Locked On/Warner UK(2004)
白いだけで〈○○のエミネム〉とか呼ぶのも失礼な話だが、庶民的なストリート感覚に満ち溢れたストーリーテリングの才で注目された彼は、まさにUKのエミネムと呼ばれてもおかしくないほどのMCだ。数々の醜聞を経て、この次作では引退まで示唆しているが……本家同様に復活を望む! *出嶌
BRITNEY SPEARS
『Oops!...I Did It Again』 Jive(2000)
エミネムとほぼ同時期にシーンの表舞台に登場し、一見真逆のキャラながら、コスプレされるなどエミネムにしつこくイジられていた彼女。リリック帳に使っていたブリトニーのノートが紛失するという騒ぎも懐かしい。プア・ホワイト出身で親がいろいろ大変でクスリに夢中で……など共通項も多いってのは強引か。初主演映画の収益は天地の差だったが。*出嶌
BUBBA SPARXXX
『Deliverance』 Beat Club/Interscope(2003)
それまで支持を得てきた白人MCがセンスの良い都会のBボーイ中心だったのに対し、エミネムが新しかったのは地方の〈ホワイト・トラッシュ〉と蔑称される貧しい層をレペゼンしていたこと……かも。田舎っぽさやダサさを隠さずに表現するという意味ではこのババ・スパークスも触発されたひとりだろう。*出嶌
DIDO
『No Angel』 Arista(2000)
自分自身と狂信的なファン(スタン)の二役をエミネムが演じ分けて高い評価を得たヒット曲こそ“Stan”だが、その物寂しいフックで丸ごとサンプリングされていたのはPVにも出演したダイドの“Thank You”だ。“Stan”効果によって彼女もUSで成功を収めるものの、どうやら使用料でいまだにモメているというノー・エンジェルな状態だそうで……。*出嶌
EVERLAST
『Eat At The Whitey's』 Tommy Boy(2000)
アイリッシュ系ながらも白人ラッパーの先輩格にあたるエヴァーラストとエミネムはリンプ・ビズキットも交えてのバトルを繰り広げた。しかしエヴァーラストと同じクルー、ソウル・アサシンズに在籍していたアルケミスト(フーリガンズの元メンバー)がエミネムのバックDJという奇妙な繋がりもあったりする。*升本