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Complete Guide 71-

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年05月14日 11:00

更新: 2009年05月14日 17:40

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/池谷 昌之、出嶌 孝次、林 剛

関連作と楽しむ名盤の数々

『What's Going On』 Motown/ユニバーサル(1971)
モータウンの束縛から自立して挑んだ、マーヴィンの最重要作。弟フランキーのヴェトナム戦争体験に触発された表題曲から、環境問題を憂う“Mercy Mercy Me(The Ecology)”、ゲットーの暗部を描いた“Inner City Blues(Make Me Wanna Holler)”まで、歌詞世界は社会性を帯びたシリアスなものに変化。そして、ジャジーなポリリズムや多重録音によって織り成された繊細なメロウネスは、ソウル・ミュージックの範疇だけでなく音楽史上においても画期的なものだ。
(池谷)

DONNY HATHAWAY 『Live』 Atlantic(1972)
ソウル史上に残るこの名ライヴ盤は“What's Going On”のカヴァーから始まる。ニュー・ソウル・ムーヴメントを担うひとりになるダニーが、ポリティカルなメッセージを持つ同曲に呼応した面は少なからずあるのだろう。
(池谷)

DIRTY DOZEN BRASS BAND 『What's Going On』 Shout! Factory(2006)
ニューオーリンズのブラスバンドが表題作を丸ごとカヴァー。原曲のメロウ&アーバン風情を覆す、ヒップホップ勢も招いた攻撃的なジャム感覚やディープな質感が、ハリケーンで被災した故郷にシリアスに響く。
(池谷)

EL DEBARGE 『Ultimate Collection』 Hip-O 
マーヴィンと交替するようにモータウン入りしたデバージの一員。『Heart, Mind & Soul』(94年)にリオン・ウェアやワー・ワーも招いて偉人に至上のオマージュを捧げてもいるマーヴィン好きだが、クスリと縁の切れない自堕落ぶりまで……。
(出嶌)

MOS DEF 『The New Danger』 Geffen(2004)
〈この世界の現状をマーヴィンにどう説明するのだ〉と嘆く、10分近い大作“Modern Marvel”を収録。“God Is Love”をネタ使いした幻想的な意匠に訥々としたポエトリーを収めた前半部分は、故人とのチャネリングを図ったかのよう。
(池谷)

『Trouble Man』 Motown/ユニバーサル(1972)
同名のブラック・ムーヴィー用に作られた、マーヴィン唯一の映画サントラ。スティーヴィー・ワンダーに貰ったモーグを夢中であれこれ操りながら作品にしていったのだろう、カーティスやアイザック・ヘイズが同時期に作ったサントラ以上に、音の響き自体を探求したような小品が多い。というわけで、“'T' Plays It Cool”のような定番ブレイクスの宝庫でもある。純然たるヴォーカル曲は1曲のみ、ビターな歌い口が古びたジャズの豊潤さにマッチした表題曲がヒットした。
(出嶌)

CURTIS MAYFIELD 『Super Fly』 Curtom(1972)
もうひとりのニュー・ソウル偉人が同年に発表したブラック・ムーヴィーのサントラ。パーカッションの音を強調するなどして緊張感を高め、スリリングな雰囲気を漂わせた作風は瓜二つだろう。売れたのはこっちだったが。
(林)

STEVIE WONDER 『Music Of My Mind』 Motown(1972)
モーグなどのシンセサイザーを巧みに操り、演奏家としての才覚をアピールするきっかけとなったアルバムを同年に出していたというのは興味深い。映画のスコアとしても通用しそうな、緻密にして雄大な楽曲が並ぶ。
(林)

GROVER WASHINGTON JR. 『Soul Box Vol.1』 Kudu(1973)
71年の『Inner City Blues』でマーヴィン曲を取り上げたサックス奏者は、今作で“Trouble Man”のリメイクに挑戦。サックスが活躍するマーヴィンのサントラに刺激されたのか、〈俺を使ってほしかった〉という訴えなのか……。
(林)

CHICO DEBARGE 『Long Time No See』 Kedar/Universal(1997)
別掲のエル同様にモータウンの後輩となるチコ。アイドル時代にトラブルまみれな日々を送り、やがて長い獄中生活へ……出所後の本作で歌ったのは“Trouble Man”だった。『Marvin Is 60』での名唱も素晴らしい。
(出嶌)

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