凛として時雨 -第四回(2)
■moment A rhythm(short Ver.)
――では、次は“moment A rhythm”のショート・ヴァージョンですね。シングルの後半部分はこちらには収録されていないんですけども、先ほどのお話の続きをさせて頂きたいのですが……そうすると、あの伸縮性のある音が浮遊している後半部分にも電子音などは使用されていないっていうことですよね?
TK そう聴こえるものはたぶん、基本ギターだと思いますね。
――そうなんですね……。もう、エレクトロニカに近い質感なのに。
TK 打ち込みを使い始めると際限がなくなってしまうというか。僕がまだ、それをチョイスできるほど器用ではないので(笑)。自分の枠を飛び越えて、どこまでやっていいかわからなくなってしまうので、いまは使ってないですね。
――ギターでこういう音を出せるんだ、とか、音を加工するおもしろさを楽しんでるところはありますか?
TK 楽しんでる、っていうよりは、それも曲を作ってる感覚ですね。音を加工するのもメロディーを作るのと一緒の作業なので、あんまりそれは違和感がないというか。
■mib126
――では、いよいよ最後の曲ですね。“mib126”。これはあきらかに、これまでにはなかった歌い方をしてますよね。
TK はい。
――この独特な歌い方はどういうアイデアで?
TK 歌詞は最終的に、昔、紙に書いていたものをもとにしたんですけど……んー、この曲の母体は昔から出来てたんですけど、歌詞とメロディーが入っていない状態で最後まで残っていて。スタジオで、上(の階)でマスタリングをしてるときに下(の階)で歌詞を書きながら歌を録ってたんですよ(笑)。で、結構その、危機迫った状態というか(笑)。下手したら収録されないぐらいの感じだったので(笑)。
345 あはは(笑)。
TK 危機迫った状態で……急いで歌ったからああなったっていうわけではないんですけど(笑)、なんだろうな? これも結構、プレイバックしながら紙に書いた歌詞をいろんな歌い方で歌ってみたり、メロディーを変えてみたりしたんですけど、一番しっくりきたのがああいう歌い方だったんですよね。すごいフリーキーな感じが……その違和感がその時の自分にとっては一番心地よくて…………それも、そういう状態だったから生み出せたものなのかなっていうのがありますね。メロディーとかに関しても、結構前から「どうしようかな」っていうのはあったんですけど、結局なかなかハマらなくて。だけど、出来上がってみたら……なんか、歌が入った瞬間すごい違和感があるじゃないですか。その感じがすごくいいと思いましたね、その時は。
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