BLUES IN THE GUTTER 耳で聴いたピープル・トゥリー
ブッカーT&ザ・MG'sをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ
OTIS REDDING
『The Dock Of The Bay』 Stax/Atlantic(1968)
説明不要のキング・オブ・ソウル。スタジオでもライヴの現場でも、MG'sとは互いの音楽性と名声を高め合う最高のパートナーだったとも言える。彼らに教えられてストーンズやビートルズの音楽を知ったオーティスは本作の表題曲をクロッパーと共作した直後に急逝。その死はMG'sの命運をも変えることとなった。
(出嶌)
NEIL YOUNG
『Are You Passionate?』 Reprise(2002)
ダック・ダンは2000年の『Silver And Gold』や同時期のツアーにも参戦してるけど、本作にはダンに加えてブッカーTも参加している。スタックス流儀を随所に散りばめていて実にカッコイイ。そのお礼も込めてか、ブッカーTの新作『Potato Hole』では10曲中9曲でヤングがギターを担当!
(北爪)
THE YOUNG RASCALS
『Groovin'』 Atlantic(1967)
MG'sが『Hip Hug-Her』で彼らの代表曲“Groovin'”をカヴァーしたのも遠い昔。と思いきや、元リード・ヴォーカルのフェリックス・キャヴァリエとクロッパーの共作『Nudge It Up A Notch』が新生スタックスから昨年リリース! 黒人音楽愛に溢れた白人同士の31年目の邂逅に感涙。
(北爪)
THE FUNK BROTHERS
『The Very Best Of Funk Brothers』 Motown
60年代ソウルを背骨から支えたもうひとつの名楽団ではあったが、MG'sとは違ってバック・バンド扱いは変わらなかった。いくらスタジオ作業でヘトヘトでもさ~、名前もちゃんとクレジットされてるし、自分らのレコードも売れてるしイイじゃん、と思ったかどうかは定かではない。
(出嶌)
RITA COORIDGE
『Delta Lady: The Rita Cooridge Anthology』 A&M
80年代以降はポップ歌手としてのイメージが強くなる彼女だけど、もともとは〈デルタ・レディー〉の異名を持つスワンプ・ロック界の歌姫だったわけで。デビュー以前から交流があったこともあり、初期の作品にはブッカーTが多数参加している。というか、何より彼女の姉プリシラはブッカーの奥さんだしね。
(北爪)
THE BEATLES
『Abbey Road』 Apple/EMI(1969)
本隊でも他シンガーの後ろでもビートルズ・ナンバーを演りまくっていたMG's。特にブッカーが惚れ込んだことで、かの『McLemore Avenue』は生まれている。それ以前にビートルズは『Revolver』をスタックスで録る予定だったとか、ジョン・レノンのソロ・セッションにクロッパーが関与したとか、裏話も多々あり。
(出嶌)
ハナレグミ
『音タイム』 EMI Music Japan(2002)
このソロ・デビュー・アルバムにて、ブッカーTがソロ時代に残した名曲“Jamaica Song”を朗らかなレゲエ調のアレンジでカヴァー。MG'sサウンドへの演奏家的な興味というよりは、ソロ期のブッカーTが披露した甘くメロウな高音ヴォーカルへのシンガーとしての憧憬が窺えるようでおもしろい。
(北爪)