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特集

DISCOGRAPHIC BOOKER T. & THE M.G.'s

ブッカーT&ザ・MG'sを知るための8枚

『Green Onions』
Stax/Atlantic(1962)
よく考えると凄いジャケだが……表題曲のヒットによって急遽仕立てられたファースト・アルバム。そんな経緯もあってほぼ全編がカヴァーで、レイ・チャールズやアイズレー・ブラザーズらの名曲群が小粋な黒みを帯びて響く。何はなくともタイトル曲を聴いてもらわねば。

『Hip Hug-Her』
Stax/Atlantic(1967)
ヨーロッパ・ツアーを経て制作された5作目。後々のネタ人気も高いタイトル曲やUKでの人気を自覚したことで生まれた“Carnaby St.”など、ヒップなオリジナル曲の完成度が高い。タイトでクールなミディアム・グルーヴという、この時期の持ち味を集大成した佳作だ。

『Soul Limbo』
Stax/Concord(1968)
シチュエーション不明なジャケも素晴らしい通算7作目。第2期スタックスの第1弾シングルとなったカリプソ風味の表題曲を筆頭に、サイケ時代の産物から古式のジャズまで、スタジオに充満していた豊富なアイデアを一気に放流したような意欲作。アイザック・ヘイズも参加!

『Uptight』
Stax/Concord(1969)
ジュールス・ダッシン監督映画のサントラ。総合的な音楽家として飛躍の機会を狙っていたブッカーがほぼ全曲を単独で自作し、禁を破って(?)冒頭の“Johnny, I Love You”から朗々とした歌声を聴かせる。結びには軽快なグルーヴが走る代表曲“Time Is Tight”を収録。

『The Booker T. Set』
Stax/Concord(1969)
レーベルの計画に沿って慌てて作らされ、全曲カヴァーとなったヤケクソ盤。が、時間のなさゆえに地力が出たのか、演奏の瞬発力や突進力は最高だし、ハモンドがトリップ感を拡張したスライやドアーズの同時代曲にはゾクゾクさせられる。ディープ・ファンク好きにも推薦。

『McLemore Avenue』
Stax/Concord(1970)
ジャケが示す通り、ビートルズ『Abbey Road』をリリースから半年後にフル・カヴァーしたもの。オリジナルのいわゆるB面メドレーを解体し、新しい連曲を組み上げるという構成力の高さに唸らされる。スワンプ色の濃いアレンジは特にジョージ・ハリスンを刺激したはず?

『Melting Pot』
Stax/Concord(1971)
NY録音を敢行し、全曲をオリジナルのみで固めた初のアルバム。ここでの彼らはブルーノートじゃなく夏フェス向け?というか。JBやミーターズが切り拓いた道に踏み込まんとする長尺ジャムの表題曲など、時流に即したファンクやジャズの滋養を野心的に咀嚼した最高傑作だろう。

『That's The Way It Should Be』
Acadia/Columbia(1994)
実に17年ぶりのアルバムにして、現時点での最新作。スティーヴ・ジョーダンらをドラマーに迎えて品良くまとまった雰囲気だが、共に齢を重ねるファンの欲求に円熟味で応えたとも言えるか。ディランやジャネットの温かいカヴァーが良好。ニール・ヤングも謝辞を寄せている。

OTHERDISCOGRAPHIC
BOOKER T. & THE M.G.'S
『Soul Dressing』(1965)
『And Now!』(1966)
『In The Christmas Spirit』(1966)
『Back To Back』(1968)
『Doin' Our Thing』(1968)
『Universal Language』(1977)

THE M.G.'S
『The MG's』(1973)

STEVE CROPPER
『With A Little Help From My Friends』(1969)
『Playin' My Thang』(1981)
『Night After Night』(1982)
『Nudge It Up A Notch』(2008)

BOOKER T. & PRISCILLA / BOOKER T.
『Booker T. & Priscilla』(1971)
『Home Grown』(1972)
『Chronicles』(1973)
『Evergreen』(1974)
『Try And Love Again』(1978)
『The Best Of You』(1980)
『I Want You』(1981)
『The Runaway』(1989)
『Potato Hole』(2009)

COMPILATION
『Play The Hip Hits』...and more!

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2009年04月30日 12:00

更新: 2009年04月30日 17:55

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/出嶌 孝次

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