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THE FAB-FOUR ON STAX スタックス躍進の原動力だった、4人の裏方としての活躍を再確認!!

 スタックスのハウス・バンドとして活躍したブッカーT&ザ・MG's。メンバー4人は、アイザック・ヘイズ&デヴィッド・ポーターのコンビと共に〈ビッグ6〉とも呼ばれ、スタックスの運命のカギを握った。もともと、初代ベーシストのルイ・スタインバーグを含むメンバーの大半は、“Last Night”のヒットを飛ばした〈初代ハウス・バンド〉のマーキーズに参加。それ以前、管楽器奏者でもあったブッカーTは、前身のサテライトから出たカーラ&ルーファス(・トーマス)の“Cause I Love You”でバリトン・サックスも吹いていたが、そのブッカーTは鍵盤奏者としてのセンスを活かし、ソングライター/プロデューサーとしても活躍している。例えばアルバート・キングの“Born Under A Bad Sign”は彼が書いた代表曲のひとつだが、これを共作したウィリアム・ベルとのコンビで“I Forget To Be Your Lover”など(兵役後の)ベルの一連の楽曲を手掛け、ブルージーかつメロウなセンスを発揮したことも忘れ難い。

 また、サム&デイヴ“Soul Man”などで骨太かつキャッチーなリフを奏でたギタリストのスティーヴ・クロッパーもスタックス史に残る名曲をソングライト&プロデュースしている。オーティス・レディング“(Sittin' On)The Dock Of The Bay”もそのひとつだが、なかでもエディ・フロイドの“Knock On Wood”はギタリストであるクロッパーならではのキレを感じさせる曲で、その後もステイプル・シンガーズやルーファス・トーマスらのメッセージ性溢れるパワフルな楽曲を制作していった。

 アル・ベルの新体制スタックスが始まった70年前後からは、MG'sに残ったドナルド・ダック・ダンがデラニー&ボニーらの、アル・ジャクソンがマッド・ラッズらの楽曲制作にそれぞれ関与。特にアルは、ソウル・チルドレンの“I'll Be The Other Woman”やシャーリー・ブラウン“Woman To Woman”といった不倫ソングの制作にも(自身の不倫中に!)関わり、倒産寸前のスタックスに光をもたらした。スタックスの隆盛と凋落を目の当たりにしながら、MG's一派は最後までレーベルの要であり続けたのである。


ウィリアム・ベルの67年作『The Soul Of Bell』(Stax/Atlantic)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2009年04月30日 12:00

更新: 2009年04月30日 17:55

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/林 剛

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