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特集

オレスカバンド〈BLACK SIDE〉

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年04月16日 15:00

更新: 2009年04月16日 18:03

文/森 朋之

 昨年10月に同時リリースされたミニ・アルバム『What a Wonderful World! vol.1』(通称白盤)とライヴ・ドキュメンタリーDVD「46 ORESKABAND -WARPED TOUR 2008-」から約半年。オレスカバンドが三部作の最終章となる最新作『What a Wonderful World! vol.2』(通称黒盤)を発表する。〈vol.1〉を起点に始まった彼女たちの長い旅路は、過酷を極めた〈ワープド・ツアー〉を経て、この〈vol.2〉をもってひとつの終着点へと到達。そんな彼女たちの進化の過程を、bounce.comでは時系列に沿って2週連続で展開中! 〈ワープド〉を糧にして完成した〈黒盤〉に込められた思いとは――? 後編となる〈BLACK SIDE〉では、いかす、とみ、たえさんの3人が語る。

定まらないままで続いていくのがオレスカバンド

――『What a Wonderful World vol.2』について、さっきリーダー(トロンボーン)が「〈vol.1〉のときよりもリラックスして音楽を楽しめてる」と言ってて。確かに音のヌケがすごく良くなったという印象を受けました。

いかす(ギター/ヴォーカル) ヌケたのかしら(笑)。でも、〈vol.1〉のほうは、まだ周りが見えてない感じがしますね。不安ゆえに一直線っていう。それはそれでいいと思うんですけど、それがおもしろいくらいに出てると思います。

――不安っていうのは……。

いかす 〈ワープド・ツアー〉を回る前だったので、「ホントに最後までやれるのか?」とか。でも、今回は違いますよね。ウチらはまだまだやれるっていう確信もあるし、「どうして不安になるか?」っていう理由を考えられるようになってきた。それを解消していけば、明るい未来が待ってるはずやって。

たえさん(ドラム) ちょっと見えてきた気はしますね、いろんなことが。「きっと、これからも気づけるはずや」って思えるようになったというか。それが違うところかな。

とみ(ベース) いまの自分たちも出てるし、これからにも繋がるアルバムになったと思いますね。

――〈ワープド〉を経験したことで、バンドの音も変わったんじゃないですか?

いかす 変わりましたね! 〈ワープド〉から帰ってきて、最初のスタジオのときはちょっとビックリした(笑)。〈ワープド〉って、リハもできないし、本番のときも音がワンワンしてて(回っていて)誰が何をやってるかよくわからない状態なんですよ。

とみ そうやな。

いかす でも、日本に帰ってきてスタジオで音を出してみたら、「あ、ウチら、こんなに自信を持って音を鳴らしてたんや」って思って。

とみ ぜんぜん違いましたね、ホンマに。

たえさん その話、みんなでしたもんな。「すごいなあ」って。まあ、2分くらいですけど(笑)。

いかす 「すごいなあ。じゃあ、やろうか」みたいな(笑)。

――余韻に浸ることもなく(笑)。楽曲のアレンジにも、新しい要素が感じられたんですよね。たとえば1曲目の“カメレヨン”のコーラスワークも、さらに洗練されてきた気がする。

いかす ありがとうございます。そう、“カメレヨン”のコーラスは、とみの声のいいところを活かそうって思ってたんですよね。曲を作ってるときから、とみの声がイメージにあって、そこから膨らませていった感じなので。メンバーそれぞれの好きな音楽とか、みんなバラバラで個性的なんですよ。だから、それぞれのいいところ、おいしいところをどんどん曲のなかに詰めていきたいなって思って。そうすることできっと〈バンド〉になっていくと思うんですよね。

――うん、確かにひとりひとりの音が際立ってますよね。“カメレヨン”は、カメレオンとクレヨンを足した言葉?

たえさん はい。わかってもらって、ありがとうございます(笑)。これは曲とは別のところで書いてた歌詞なんですけど、何ていうか、「ホンマにいろんな人がおるなあ」って思って。それこそ〈ワープド〉を回ったときに感じたんですけど、みんなすごく個性がある。で、「ウチは何やねん」って考えてて。

――自分の個性が見えない、みたいな?

たえさん そう。それはいまでも見えてないんですけど、「〈わからない〉っていう答えもありやん」って思ったんですよね。「わからへんかったら、ずっと色を変え続けるのもいいやんな」とか。

いかす それはよく考えますね。個人的なこともそうやし、いろんなバンドがいるなかで「自分たちはどうかな?」とか。

たえさん そういうことばっかり話してますよ、みんなで。なかなか結論は出ないんですけど。

とみ ウチらって、14か15歳のときからバンドをやってるんですよ。「こうなりたい」とか「こういう方向に進みたい」とか、そんなことを考える前から一緒にやってて、最近になって初めて「あ、こんなところもあるんや」って見えてきたこともあるんですよね。そうやって、定まらないままで続いていくのがオレスカバンドなんやなって。

――考え方や好きな音楽も、すごく変わる時期だし。

とみ そうなんですよね。いかすにしても、成長する過程のなかで違う部分が出てくる。その変化を認められなかったり、「わからん」って思うこともあるかもしれないけど、それをどう受け止めて、どう突き詰めていくかっていうのが大切やと思うんですよ。

いかす 「変わらないものって何やろう?」って考えることもあるしな、逆に。

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