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特集

BURAKA SOM SISTEMA

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年04月02日 12:00

更新: 2009年04月02日 13:26

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/出嶌 孝次

俺たちは〈本能〉で音楽を作ってるんだよ


  またまた血の巡りが良くなってきた! エレクトロやダンスホール・レゲエ、ベースといった滋養に育まれたブーティーなダンス・ミュージックが世界中のあちこちからボコボコ出てくるというサイクルは、もう何巡目に入ってる? それでもビートは止まらない。今度はアンゴラの伝統音楽をモダンに発展させたブーティー・ビーツ=〈クドゥル〉だって。M.I.A.らをフィーチャーした“Sound Of Kuduro”などに乗せて、その強烈なスタイルをポルトガルから世界へ届けているのがブラカ・ソム・システマ(以下BSS)だ。構成員はポルトガル生まれのリル・ジョン(ジョアン・バルボーサ)とDJライオット(ルイ・ピテ)、そしてアンゴラ出身のコンダクター(アンドロ・カルヴァーニョ)とカラフ(・アンヘロ)の4名。インタヴューにはすべてコンダクターが答えてくれた。

──まず、ブラカって何のこと?

「リスボン郊外のアマドーラっていう場所にある地域の名前なんだ。なかなかイイところなんだけれど、ちょっと治安に問題があるから観光ガイドなんかには載ってないんだよね。たくさんの移民が暮らしてて、クドゥルを爆音でかけた車が街中を走ってたりしてさ。だから俺たちにとってピッタリの名前だったんだ。〈ソム・システマ〉はポルトガル語で〈サウンド・システム〉って意味。つまり、英語だとブラカ・サウンド・システムってことなんだ」

──クドゥルについては後で訊くとして……結成前からそれぞれ長い付き合いなんだって?

「リル・ジョンとライオットは学生の時からの知り合いなんだ。もういっしょにプレイしたり、コラボったりして10年になるな。クール・トレイン・クルーとしてドラムンベースをやったりしてね。BSSを始めるきっかけは、ポルトでのパーティーで俺以外の3人がクドゥルのトラックをかけたことだった。そこでの反応が凄く良かったことにビックリしてさ。それでセットのなかにクドゥルのフレーヴァーを混ぜ込むことにしたんだ。スペイン広場のブラック・マーケットでクドゥルのCDを漁っては、リエディットを作ってかけるようになったんだよ」

──あなたが加入したのは?

「俺に連絡が来たのはその後だったね。俺はコンフント・ンゴンゲーニャっていうヒップホップ・プロジェクトをやってたんだけど、皆は俺がBSSの方向性に合ってるって思ったらしいんだ。俺も加わってからリスボンのメルカドってクラブでパーティーをやったら、凄く評判が良くてさ。2回目にして長蛇の列ができるわ、メディアは騒ぎはじめるわで、俺たちは初めて〈本気でやる価値があるかも〉って思ったんだよね」

──そのクドゥルなんだけど、具体的にはどういう音楽なの? アンゴラで生まれた音楽なんだよね?

「そうだね。もともとクドゥルは90年代の初め頃に、いろんなプロデューサーやDJがテクノやハウスを制作してたときに生まれたんだ。自分たちが影響を受けた伝統音楽とかを反映させようとして、まったく新しいものを作ってしまった、って感じでさ。最初は〈バチーダ〉って呼ばれてたけれど、その後でMCが入って、ダンサーが前面に出てくるようになってクドゥルになったんだ。クドゥル自体は伝統音楽じゃないけど、センバやリビタ、キラパンガ、それにヴァイオラのように昔からあるアンゴラ音楽の要素をたくさん採り入れているんだ」

──2006年に最初のアルバム『From Buraka To The World!』をリリースしているけど、その年のうちにTTCのオルガズミックが“Yah!”をミックスCDに入れてたね。ヨーロッパ内では早くから評判だったの?

「うん、わりとそうだったね。3年くらい前、スペインの〈Sonar〉でディプロに会って、BSSのトラックを入れたCDを渡したんだ。それからトラックを聴かせ合ったりコラボの話をしたり、互いに連絡を取るようになった。シンデンやスウィッチ、ジンクとも同じように知り合って……たくさんのDJや〈テイストメイカー〉と言われる人たちが、BSSの音楽をより多くの人に広めるのを助けてくれたんだ」

──ボンジ・ド・ホレの“Gasolina”をリミックスしたのはディプロの縁なんだね。

「そうだよ。いまヨーロッパのダンス・ミュージック・シーンを全体的に見ればさほどおもしろくないんだけど、だからこそディプロみたいな存在が凄く重要なんだと思う。彼はいろんなDJやアーティストを繋げることのできる存在で、その誰もにひとつだけ共通点があるんだよ……〈本能で音楽を作ってる〉っていうね。まるでひとつのサークルみたいなもんで、一度仲間になったら、ずっと仲間なんだ」

──じゃあ“Sound Of Kuduro”で組んだM.I.A.とも……。

「ああ、ディプロの紹介で最初はロンドンで会った。数週間後に彼女がもっとクドゥルについて知りたいって──【次回へ続く】

▼ブラカ・ソム・システマの楽曲を収めたミックスCDを一部紹介。


2006年の『The Rise And Rise Of Orgasmic』(Institubes)


2007年の『Fabriclive 32: Tayo』(Fabric)

次回予告

次回はアンゴラ事情に迫るブラカ・ソム・システマの続き……ってだけじゃないですよ! 期待のサンダーハイストやイクスラビット、さらには今回諸事情により掲載が間に合わなかった日本の某クリエイターも登場する予定です。まだわからんけど。

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