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TELEPATHE

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2009年04月02日 12:00

更新: 2009年04月02日 13:26

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/山西 絵美

特定の何かにカテゴライズされる音楽だとは思っていない


  ここで紹介するブルックリン出身のユニット、テレパシーは何もかもが自由奔放。例えば、〈ポップソング〉というものは往々にして〈Aメロ→Bメロ→サビ〉みたいな流れがあるものだと思ってましたが、彼女たちの音楽にそんな規定は適用されず。しかし、前衛的なのかと言えばそうでもなくて、どの楽曲もポップで聴きやすいのだから厄介なのです。

「テレパシーを始めるにあたって、〈バンド内にルールを設けない〉っていうアイデアに入れ込んだの。例えば、私が常にドラマーでメリッサはギタリストみたいな約束事ね。そうしたらどんどんフリーになっちゃって。ライヴでギターやドラムを使うのをやめて、プログラムされたビートだけでパフォーマンスしたこともあるくらい!」(ビジー・ギャングニス、ヴォーカル/ドラムス/キーボード/プログラミング:以下同)。

 順を追って説明しましょう。テレパシーの2人――ビジーとメリッサ・リバウダス(ヴォーカル/キーボード/プログラミング)――は、もともと一般的な編成のバンドに各々在籍していました。特に後者は、アニマル・コレクティヴにも可愛がられていたファースト・ネイションに……とか書けばピンとくる方もいるでしょうか? 現にテレパシーも2004年の結成当初は、〈普通に〉3人組だったとか。その後、音源を発表していくなかで自然と現在の形に治まったようです。

「でも、これからも絶対に流動的だと思うわ。テレパシーを私たち2人に限定する必要はないというか。ライヴ時のダンス要員として友達に参加してもらってた時期もあるし、他の人たちをステージに招いて歌ってもらったこともある。とにかくきっちり固まったものにはしたくないのよ!」。

 ゴメンナサイ。気を取り直して、このほど到着したファースト・アルバム『Dance Mother』も、それはそれは〈きっちり固まってない〉作品となりました。短いヴァースを繰り返し、繰り返し、繰り返した末に大きな展開もなく終わってしまう投げやりなヴォーカル。ホワホワと宙に浮いたまま出口を見失ってしまったサイケなシンセ。ドンドコドンドコと不穏に轟くプリミティヴなビート。混沌としたこれらの集合体がどのようにして〈ポップソング〉たり得るのか不思議で仕方ないのですが、どうやらプロデュースを担当したデヴィッド・シーテック(TVオン・ザ・レディオ)の力が大きく作用しているようです。

「曲を全部書いたうえでデイヴのところに行ったんだけど、スタジオでの時間を利用して音楽を成長させたというか、あのチャンスを使って音をよりビッグなものにしようとしたの。というのも、私たちはすべての曲をロジック・オーディオ(ソフトウェア)で作っててね。だから元は物凄くシンプルなセットアップの宅録だったわけ。でも、彼のスタジオには本物の楽器とか機材が山ほどあったから、そこで多くのサウンドを別の音に移し変えたって感じよ」。

 ちなみに、シーテックから得たものは生楽器や高級機材によるリッチな音色だけではなかったようで、彼の所有するヒップホップやダブ・ステップのレコードを2人は夢中で聴きまくり、そこからベースラインを強調した“Trilogy: Breath Of Life, Crimes And Killings, Threads And Knives”が完成したのだとか。そんな柔軟な感性を持つ2人だけに、昨年ディプロやエイブ・ヴィゴダらマッド・ディセントの面々と回った北米ツアーでも、熱烈に支持されたわけです。

「あの顔ぶれのなかにばっちりハマってたとまでは言わないけど、自分たちがツアーに参加することには不思議と違和感がなかったな。最初は予想してなかったんだけど、私たちの音楽に多く含まれてるエレクトロの要素をオーディエンスが受け入れてくれたのよ! あと、ライヴ後にMCたちが、〈君たちの音の上にライムを乗せたい〉なんて言ってくれたの! 凄くクールだった!」。

 それ、ぜひ実現してください。では文字数も尽きてきたところで、最後にテレパシーの野望を探りながら本稿を終わりにしたいと思います。

「自分たちが何か特定のジャンルにカテゴライズされるダンス・ミュージックを作っているとは思ってなくて。ヒップホップでもなければディスコでもないし……でも同時にそれらの要素はどれもところどころに含まれてる。そうだな~、うまくまとめようとすれば、新しい形のダンス、これまで誰も観たことのないダンスを作り出そうとしてるんじゃないかな?とか(笑)」。

▼『Dance Mother』に参加したアーティストの作品を紹介。

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