耳で聴いたピープル・トゥリー
プロディジーをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生みやがったぜ!
1 PENDULUM
『In Silico』 Earstorm/Atlantic UK(2008)
〈次代のプロディジー〉として期待され、すでに人気も爆発中の彼らは、バンド編成であるがゆえに御本家よりもストレートなアプローチで、ロック層からの支持率も高い。実際に“Voodoo People”のリミックス経験もあるが、その手腕はドラムンベースでラウド・ロックをやることにまったく違和感を感じさせないぞ!
(池田)
2 PUBLIC ENEMY
『Apocalypse 91...The Enemy Strikes Black』 Def Jam(1991)
カット2キルにいた頃のリアムは、ボム・スクワッドの危険すぎるサンプリング技法に震えていたはずだ。ロック層を意識した本作ではネタの過激なノイズ化が賛否両論だったが、破裂弾のようなハードコアぶりは後のプロディジーにも通じるか。なお、初期PE作の数曲はもちろんリアムのミックスに収められている。
(出嶌)
3 DOES IT OFFEND YOU, YEAH?
『You Have No Idea What You're Getting Yourself Into』 Virgin(2008)
ニューなレイヴ野郎が巷を騒がせているなか、〈2000年代のデジロック〉と表すべきBPM早めのバーストしまくりなサウンドを鳴らす彼らは、界隈きっての後継者。ここのヴォーカル君が新作に参加することになったのも、あるフェスの舞台袖でリアムに握手を求めたことがきっかけだったみたいで……実際大好きなんすね。
(山西)
4 NIRVANA
『Bleach』 Sub Pop(1989)
かの“Voodoo People”が『In Utero』収録の“Very Ape”をネタ使いしているのは有名だが、この伝説のバンドに対するプロディジーの思いはもっと深いようで、今作で歌われているショッキング・ブルー“Love Buzz”は後にプロディジーも“Phoenix”にリメイクしている。恐らくは新作でのデイヴ・グロール起用も……!
(出嶌)
5 HYPER
『We Control』 Kilowatt(2006)
プロディジーを抜け、フライトクランクでの活動を経たリロイ・ソーンヒルが加入したのはDJハイパーの率いるこのバンドだった。と思ったら、ここでギターを務めるキーロン・ペッパーもプロディジー→マキシム→フリントのライヴ・メンバーを歴任してきたわけで、ハイパーが何をめざしていたのかもよくわかる。
(出嶌)
6 MICHAEL JACKSON
『Thriller』 Epic(1982)
リアムが好き勝手にやった『Always Outnumbered, Never Outgunned』での最強の飛び道具は、“Thriller”を引用した“The Way It Is”だったが、マイケルも物真似を公認するアル・ヤンコヴィックはそれに先駆けてキースに化け、“Lousy Haircut”なる曲を自身のTVショウで披露しているのだ。これぞ大物の証!?
(出嶌)
7 QEMISTS
『Join The Q』 Ninja Tune(2009)
ペンデュラムと相似形をなす注目新人ユニットだが、攻撃的な打ち込み要素が色濃く、こちらのほうがサウンド的にはプロディジーに近い感じ。ラガの採り入れ方に“Out Of Space”を思い起こさせたり、雑食性を育みながらアルバム通じてアゲアゲのテンションを落とさない点は彼らの意思を受け継いでおりますな~。
(池田)
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