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UNDER MY WHEELS OF STEEL プロディジーの頭脳、リアムのルーツを考察する

 そのヴィジュアルのせいか、初期衝動(笑うとこですよ)のみで突っ走る連中だと思われがちなプロディジーだが、彼らの、特にリアム・ハウレットの豊かな音楽性には刮目すべきだ。カット2キルというヒップホップ・グループのDJを活動の発端とする彼は、世代的にも近いロニ・サイズやダイらと同様にオールド・スクール・ヒップホップの滋養を存分に吸収したに違いない。そういったセンスが幼い頃から学んでいたというクラシック音楽の素養に結び付き、〈オーガナイズド・ノイズ〉とでも表現すべき楽曲性の高い作風が生まれたのだろう。というか、2枚のミックスCDを聴けば彼のド真ん中が何なのかは瞭然だ。特に〈The Dirtchamber Sessions〉では、ハシエンダ・クラシックでもあるウェスト・ストリート・モブ“Electric Boogie”といったシュガーヒル音源やランDMC~ビースティ・ボーイズなどの初期デフ・ジャム曲を重用し、そのうえでべーブ・ルース“The Mexican”なんかを織り込みながらジミー・キャスター・バンチ“It's Just Begun”でシメる〈正統派〉ぶりに、彼のBボーイ魂を見る思いがした。また一人でアルバムも作ってほしい……とか思ったりもするね。


ウェスト・ストリート・モブのベスト盤『Back To The Old School』(Sequel)

▼リアム・ハウレットのミックスCD。

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2009年03月26日 11:00

更新: 2009年03月26日 18:13

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/出嶌 孝次

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