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特集

AMBIENT / JAZZY & CLASSICAL - PAVIRION OF ELECTRONICA Part.2

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2009年02月19日 18:00

更新: 2009年02月19日 18:59

文/澤田大輔、土田真弓

 さまざまなジャンルに溶け込み、サウンドに空間的広がりを与える電子音楽――エレクトロニカ。当博覧会では、ここ2~3年に発表された作品を中心にテーマごとのパビリオンを設置しております。ごゆるりとご鑑賞いただければ、これ幸い。但し、変幻自在の音であるがゆえに、いつのまにか入り口に掲げられていたテーマとは別のパビリオンに迷い込んでいる……といった不思議体験も想定されますので、ご了承ください!? 第二弾は、アンビエント/ジャズ&クラシカル編です。

■AMBIENT

aus 『After All』 flau(2008)

傑作『LANG』をもって、世界へ自らの存在を知らしめたエレクトロニカ・シーンの俊英。miyauchi yuriと立ち上げた自主レーベル、flauから発表された最新作では、ゲストによるヴォーカル曲をフィーチャー。センシティヴな歌声が紡ぐたおやかなメロディーと、水泡のように淡く浮かんでは漂う透明感に満ちた電子音。静謐さのなかから美を抽出したかのように深遠な音世界の奥底では、ほのかな喪失感がたゆたっている。Ametsubによるリミックス曲“middle most”も、もちろんマストな完成度。*土田

Cheekbone 『ちぐはぐ』 ROSE(2008)

奈良在住の電子音楽家、森内こういちによる、曽我部恵一主宰レーベルからのデビュー・アルバム。ドローン~シューゲイザー~アンビエントを横断するディープなサウンドを奏でつつ、そこからメロウな響きを浮上させていくような作風が、なんともオリジナル。竹村延和に通じるファンタジーや、rei harakamiにも似たメランコリーを備えた注目の新鋭です。*澤田

PORTAL 『REFINED』 HEADZ(2006)

ヒップホップ・シーンとも強いパイプを持つトラックメイカー、INNER SCIENCEの別名義による初作は、ノンビートでありながら、音の揺らぎを丁寧に織り重ねることで淡いグルーヴを浮かび上がらせるアンビエント・ミュージック集。拡散と収縮をソフトに繰り返すことで限りなく輪郭をなくした電子音たちは、元はレコードからサンプリングされた音であるというから驚きだ。ときどき顔を出すグリッチ・ノイズも含め、ほのかな温かみを感じるサウンドが素敵。*土田

VARIOUS ARTISTS 『MULE ELECTRONIC PRESENTS ENJOY THE SILENCE』 mule musiq(2009)

日本が世界に誇るエレクトロニック・ミュージックのレーベル、mule electronicによる、アンビエントに焦点を当てたコンピレーション・アルバム。トーマス・フェルマンやDJコーツェ、テール・テムリッツといった錚々たる面々が、それぞれ独自解釈のアンビエントを披露しているなか、ピアノをメインに据えたkoss(kuniyuki)と、オリエンタルなフレーズを聴かせるHiroshi Watanabeのトラックがひときわ輝きを放っている。*澤田

■JAZZY & CLASSICAL

坂本龍一 『out of noise』 commmons(2009)

ピアノにフォーカスした、5年ぶりのソロ作。自身の奏でるピアノに、管弦楽器やお神楽、小山田圭吾のギター、高田漣のペダルスティールなどが寄り添い、静謐でノーブルなアンサンブルを展開。だがその背後では電子ノイズがわずかな音量で鳴り続け、不穏な空気を醸しだす。リラクシンなユルさは一切なし。緊張感に満ち満ちた音像だけを追求した圧巻の一枚だ。*澤田

東京ザヴィヌルバッハ 『Sweet Metallic』 Body Electric(2008)
坪口昌恭トリオ 『Radio-Acoustique』 Flyrec(2006)

鍵盤奏者・坪口昌恭関連の2作品を。まず、昨年1年半ぶりに再始動した菊地成孔とのユニット=東京ザヴィヌルバッハの最新作では、サックス&キーボードによる即興バトルとマシーナリーなポリリズムにダブ・エフェクトが施された甘美なエレクトロ・ジャズを展開。一方、リズム隊とのトリオによる初作には、AOKI takamasaやパードン木村などが参加。実験的でありながら、総じてエレガンス度は高めをキープしている。どちらも官能的かつ未来的な電脳ジャズを堪能できる仕上がりだ。*土田

no.9 『Usual Revolution And Nine』 Liquid note(2008)

城 隆之のソロ・プロジェクトによる5作目。室内音楽とエレクトロニカが優美に溶け合う彼の作風は、繊細にして大胆。ピアノ、クラシック・ギター、ストリングスをはじめとした生楽器と電子音、ジェントルなブレイクビーツが奏でるオーケストラルな音世界は、どこを切り取っても洗練された美しさに満ちている。なかでもパッヘルベル“cannon”を独自にアレンジした“I hope”は、聴き逃し厳禁! *土田

world's end girlfriend 『Hurtbreak Wonderland』 Human Highway(2007)

ストーリーテラーとしての図抜けた資質はほかに類を見ない孤高の音楽家による5作目。本作のなかで描き出されているのは、人類の歴史そのもののような――破壊と構築を繰り返す壮大なる虚構の物語だ。可憐に歌うハープ、清らかなピアノ、荘厳なストリングスが謳歌する平穏を切り裂くギター・ノイズ。無垢で残酷な音世界を幻想的に演出するサウンド・プロダクション。生バンドの起用と偏執的な緻密さで繰り出されるエディット・ワークが巻き起こす混沌は、さながら21世紀型のバロック音楽のよう。*土田

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