THE RAP IDOL SAPORTERS Part.1
『THE RAP IDOL』には、30名を超えるアーティストが集結しているわけだが、その面子の振れ幅がハンパない! ヴェテランから新人、関東勢から関西勢……世代差もクルーの垣根も超えて、ここまで豪華かつ奇天烈なラインナップが実現したのは、ひとえに主役の人徳あってこそ。四街道ネイチャーのMCというリアル・レジェンドでありながら、現在もシーンの最前線に立ち、若手に交じって生き生きとラップし続けるマイクアキラ。その特異な交友網を映し出した参加アーティスト陣による、ヴァラエティーに富みまくった作品を紹介します。*澤田
FORCE OF NATURE 『“Best Setting Sound vol.01” Relaxing with FORCE OF NATURE』 Master of Life(2008)
かつて伝説のグループ=四街道ネイチャーでアキラ氏と活動を共にしていた、KZAとDJ KENTの2人によるDJユニット。スヌープ・ドッグ“Sensual Seduction”を思わす“人間なんて”や、コズミック・サイケな“大繁盛”など、古今東西あらゆるダンス・ミュージックを消化したサウンドは唯一無二のもの。本作は、そんな彼らの音源のなかでもチルアウト系の楽曲を集めた極上トリップ盤で、中毒性の高さは過去最高かも。*北野
YOU THE ROCK ★ 『BIG VIP HOP』 GATE(2007)
ヘタウマ・ソウルな“冬のいたずら”に登場したYOU THE ROCK ★の最新作は、なんとUSのトップ・プロデューサー=ジョナサン・ロッテムが全面参加! リル・ジョンばりの雄たけびラップを聴かせる“NOW MAKIN UP!!”や、超バウンシーな“BANGING SHAKE IT(HIP HOP)”など、もろサウス風のシンセ・ビートが満載で、主役もブリンブリンなピンプ・キャラに扮してがっつりと応戦してます! *北野
なのるなもない 『melhentrips』 Pヴァイン(2005)
“Be Myself”において力強く歌い、ライムし、語りを入れているのが、アンダーグラウンド・シーンで絶大な影響力を誇るグループ、降神の〈なのるなもない〉。本作では、ポエティックで抽象的な言葉を次々に繰り出しながら、自身の内面世界を掘り下げていく。ディープな仕上がりではあるが、エモーショナルな歌とラップが作品に軽やかな聴き心地を与えている。*澤田
EVISBEATS 『AMIDA』 AMIDA STUDIO(2008)
凄まじく叙情的なアーバン・ブルース“Be Myself”のトラックを提供しているEVISBEATSのフル・アルバム。和モノを含めたエキゾ盤をネタにして、最高にメロウで愉快なトラックを編み上げる手腕は唯一無二。自身のMCも全編で展開しており、そのマイルドでいい湯加減なライミングも実に心地よい。ワクワクするような楽しさに満ちた2008年屈指の日本語ラップ怪作。*澤田
NORIKIYO 『OUTLET BLUES』 EXIT TUNES(2008)
爽快なフィリー・ソウル・ネタの“Believe”でマイクを握るNORIKIYOは、SD JUNKSTAのリーダーとしても知られる新世代ラッパーの代表格。SEEDAの傑作『花と雨』に続いてBACH LOGICが全曲プロデュースを手掛けた本作は、煌びやかなシンセとエモーショナルなフロウのコンビがえもいわれぬ昂揚感を生んでおり、路上のストーリーを一層ドラマティックに引き立てている。般若やBESらラップ巧者との共演も聴きどころだ。*北野
タイプライター 『0ゼロ』 SPEEDEX(2008)
“冬のいたずら”“Believe”でトラックを提供したほか、“3字”ではラップも披露しているタイプライター。近年はプロデューサーとしての活躍も著しいが、そもそもは四街道ネイチャー『V.I.C.TOMORROW』への参加が注目を集めるきっかけだった。そんな彼の初ソロ・アルバムは、男気満点のサンプリング・ワークとラップが詰まった快作で、特にRINO LATINA II、ZEEBRA、DABOがマイクを回す“特殊MIC部隊”はマジで卒倒モノ! *北野
ECD 『FUN CLUB』 Final Junky(2008)
“Keep On and Go”にて、名曲“銭の花”を思い起こさせるコラボレーションをみせたヴェテラン、ECDの11作目。不気味なループが延々と続く冒頭の“翼を下さい”カヴァーには唖然とさせられるものの、その後のエレクトロニックでブギーでロックンロールな展開は素晴らしくキャッチー。自主制作以降後の作品のなかでは、最も風通しの良い一枚と言えるのでは。*澤田
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