Jazzy Sport Productions Part.1
COMA-CHIが所属するJazzy Sportは、レーベルであり、マネージメント・オフィスであり、レコード・ショップであり、フットサル・チームでもあり……そうした様々なかたちでの活動を通して、ヒップホップを全方位にレペゼンするクリエイター集団である。巷のジャジー・ヒップホップ人気にもリンクする敷居の低さを維持しながら、ブラック・ミュージックのコアな部分を体現する図太いファンクネスも兼ね備えた〈ジャジスポ〉産サウンドは、国の内外を問わず、幅広いリスナーの信頼を勝ち取ってきた。この1月には、MICROPHONE PAGERを復活させた天才MC、TWIGYもメンバーに加入。2009年も快調にシーンをリードしてくれるであろうJazzy Sportクルーたちによる傑作群を紹介します。*澤田
breakthrough『breakthrough』ネオサイト(2005)
Jazzy Sport主宰のMASAYA FANTASISTAと、同クルーのDSK INVISIBLE、そしてRhymesterのDJ JINからなるユニットの唯一のアルバム。西ロンドン勢にも通じるスタイリッシュなブロークン・ビーツがサウンドの主軸となっており、RIP SLYMEのPESとSUやPUSHIMとのコラボ曲では、意外なまでの相性の良さを聴かせている。アンプ・フィドラーやジャネイロ・ジャネルら海外勢も作品内に普通に溶け込んでおり、そのクオリティーはすでに世界レヴェル。*北野
budamunky『Buda Session:the Mixtape』Jazzy Sport(2009)
マッドリブにも通じるルーディーでズル剥けたサウンド・センスを持つビートメイカー、BudamunkyのミックスCD……なのだが、使っているのは自身のトラックのみという驚異の一枚。スモーキーなビートが次々と繰り出されるなか、ジョー・スタイルズやソウル・ジャグラーズなどの海外勢やCOMA-CHIらが登場し、フリースタイル・セッションを披露。Budamunkyは3月に、前述のジョー・スタイルズとのアルバム『BUDASTYLES Classics』も発表予定! *澤田
Cro-Magnon『III』ラストラム(2008)
国産ダンス・バンドの筆頭たる彼らもジャジスポ所属。その最新アルバムがこちら。ジャズ・ファンクを畳み掛ける前半部や、山下達郎“Windy Lady”のカヴァーなどでは心地よいグルーヴを展開するが、サイケ・ロックな“Diablo Anastasis”とCro-Magnon流アシッド・ハウス“prosperity”が並ぶ中盤部では、ひたすらカオティックなディスコ・ジャーニーに聴き手を誘う。メロウな瞬間もドープな瞬間も刻み込んだスケールのデカい野心作。*澤田
DJ Mitsu the Beats『The Excellence:Remixies & Other Selected Works』Jazzy Sport/Pヴァイン(2006)
GAGLEのDJ Mitsu the Beatsが他アーティストに提供したリミックス/プロデュース曲をコンパイルした好企画盤。ジャジーなピアノ・リフが耳をくすぐるピート・フィリー&パークィジット“Hope”や、浮遊感あるシンセが酩酊感を誘うダイヴァース“Ain't Right”など逸曲揃いで、彼の華麗なる手捌きを改めて確認できる一枚です。個人的には、同郷のdj KENTAROと初共演した“Cannon Baller”がドープで最高! *北野
DJ Mu-R『UTHENTIC BUTTER BLEND:BLENDED BY DJ Mu-R』OCTAVE(2006)
GAGLEのDJ Mu-Rが、米西海岸アングラ・ヒップホップの名門レーベル=ABBの音源を一発録りでミックスした男気満点の一枚。デファーライやプラネット・アジアの硬派なナンバーを2枚使いでスピンする導入部、サウンド・プロヴァイダーズらのジャジーなトラックをゆったりと聴かせる中盤、リトル・ブラザー“Shorty's Reprise”ほかソウルフルなインスト曲が心に沁みる終盤と、メリハリの効いた展開が非常に良いです! *北野
ENBULL『BACK TO THE BASIC』ENBRAIN(2007)
Jazzy Sportに所属するgrooveman Spotと、MCのU-ZIPPLAINによるヒップホップ・ユニット。自主レーベル=ENBRAINからの初アルバムとなる本作は、タイトル通りサンプリング回帰したサウンドと、パブリック・エネミー“Public Enemy No.1”を下敷きにした“Number One”ほか、そこかしこに散りばめられた名曲のフレーズが、ヒップホップ愛を感じさせる一枚。COMA-CHIも“The Letter”でATCQ“Find A Way”のラインを引用してます。*北野
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