ZEEBRA
いまや伝説的なイヴェントとして語り継がれている〈さんピンCAMP〉を機に、音楽業界でも急激に注目を集めることとなった日本のヒップホップ・シーン。あれから早12年……当時と比べるとメジャー/アンダーグラウンドのいずれもが細分化を重ねて個々ではおもしろい動きもあったりするのだが、マーケット規模が肥大化したことの功罪か、コマーシャルなフィールド向けとされる者とそうでない者が完全に分化されてしまっているのが現状だ(昔もそうだったが)。また、それがシーンにとって良いことなのか悪いことなのかは別として、〈さんピン〉の頃のようにシーンが結束してムーヴメントを起こそうとするような機運もなく、〈あの時代〉を原体験した者としては若干の物足りなさを感じてしまうのが正直なところでもある。
そのように彷徨う日本のヒップホップ・シーンの舵を10年近くに渡って握り、ストリート~アンダーグラウンドな視点/姿勢そのままにクォリティーを落とすことなくコンスタントに作品をリリースし続け、圧倒的なカリスマ性とマス・アピール力を武器にポップ・フィールドへも積極的にアプローチしてきたワン&オンリーな存在、それが本稿の主役=ZEEBRAだ。ラッパー生活20周年という節目の今年、多岐に渡ったこれまでの活動を総括するような3枚組のベスト・アルバム『The Anthology』やプロモ・クリップ集「The Clips-Complete Collection-」のリリース、さらには初の武道館公演も控えており、彼は幾度目かのキャリアのピークを迎えようとしている。ぶらっ!