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WORDROBE 08>>09(2)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2008年12月25日 10:00

更新: 2008年12月25日 17:50

ソース: 『bounce』 306号(2008/12/25)

文/bounce編集部

ジャジーなポップス
 ノラ・ジョーンズの登場以降、ジャズだとかポップスだとかいうカテゴリー分けに拘束されず、自由なスタンスで音楽と向き合うアーティストが次第に注目されはじめていたが、2008年はその系譜に連なるシンガーがこぞって大活躍した年となった。ジャズの作法を散りばめつつも素敵にキュートなポップスを仕立てたルーム・イレヴンや、フェイクなジャズ&USルーツ風音楽を奏でて往年の銀幕的世界を構築したクレア&ザ・リーズンズ、さらにプリシラ・アーン、ヤエル・ナイム、メロディ・ガルドーなどが驚異的なロングセラーを記録して、音楽シーンに新たな展望を拓いた。
(北爪)

ジャパニーズ・ロックンロール・リヴァイヴァル
 系譜が謎な〈突然変異型〉バンドが日本のロック・シーンを席巻した前年からの揺り戻し!?……かどうかは別として、2008年はラフでタフでラウドでソリッドな直情型ロックンロールをブッ放す新世代バンドが多く登場した。2000年代初頭に英米で巻き起こった〈ロックンロール・リヴァイヴァル〉の流れを汲むサウンドだが、ダーティーかつグラマラスに攻めるPSYSALIA PSYSALIS PSYCHEや、ビートルズ・ライクなリズム&ブルース愛を標榜するTHE BAWDIESなど、アプローチ法はさまざま。いまは点である彼らの存在が〈現象〉へと発展するのは、もう時間の問題か。
(土田)

アコースティック・レゲエ
 2008年はアコースティックな歌ものレゲエが軒並み好評を博した。発火点は2006年作『Parables』がいまなおロングセラーを記録しているトーラス・ライリーということになるが、本年度は彼に続けとばかりにエターナやジャーメロディがジャマイカ国内外でブレイク。また、Rickie-GやJING TENGら日本勢、リー・エヴァートンやナッティらヨーロッパ勢も奮闘し、さらに歌ものコンピ・シリーズ〈Colors〉の登場も盛り上がりに拍車を掛けることに。この波は治まるどころか、アコースティック・ソウルやサーフ・ロック・ファンも取り込んでより大きなウネリとなりつつある。2009年、さらなる注目が高まることは必至だろう。
(西尾)

R&Bのソウル復権
 ネオ・ソウルから〈ネオ〉が取れて〈ソウル〉に? ヒップホップ世代がやるソウルというのは大前提として、2008年にはためらうことなく古いソウルのテイストを持ち込んだR&B作品が目立った。ラヒーム・デヴォーン、それに新鋭のノエル・ゴーディンやキアンソニーらによる温故知新的な作品はその代表と言えるだろうし、ラファエル・サディークやエリック・ベネイら 旧ソウル回帰組による60~70年代ソウルへの憧憬作も、アル・グリーンの自己回帰作と共に話題に。そして、その潮流を作ったアンソニー・ハミルトンが年末の新作でシメを飾ってくれたというわけだ。
(林)

モダン・エモ
 フォール・アウト・ボーイの2007年作『Infinity On High』を起点に巻き起こったエモ/パンク界隈のアーバン化は、2008年に入っても留まることを知らず……〈エモ版マルーン5〉の異名を持つキャブや、80'sディスコ色を強めたコブラ・スターシップらディケイダンス勢のジャパン・ツアーもその人気を後押しすることに。何より、中堅のシンプル・プランがマックス・マーティンやデンジャらをプロデューサーに起用したことは、大いにキッズを驚かせたのではないだろうか? そんななか、大将FOBもリル・ウェインやファレルらをゲストに招いた新作で、さらに洗練されたモダン・エモのニュー・スタンダードを作り上げたばかり。この傾向はまだまだ2009年も続きそうだ。
(粟野)

ヒップスター
 スキニー・ジーンズとアフガン・ストールをシンボルとするヒップスター・ラップは、ざっくり言うならばネイティヴ・タン~カニエ・ウェスト~ルーペ・フィアスコの系譜に連なる新世代を指すサブ・ジャンル。クール・キッズやキッズ・イン・ザ・ホール、パック、ナックスなど、該当アーティストの多くはこの名称で括られることに対して強い嫌悪感を示しているが、彼らをヒップホップの救世主と目する論調も少なくない。その真価が問われるのは、ワレイやチャールズ・ハミルトン、キッド・クディといった注目株が表舞台にデビューする2009年以降か?
(高橋)


ワレイのストリート・アルバム『100 Miles & Running』(Allido)

レイヴ回帰
 ニューレイヴとレイヴ・リヴァイヴァルを本気で混同する向きもあるようですが……80年代末~90年代初頭のレイヴ・サウンドを思わせるハードコア・テクノ~アシッド・ハウスのムードに出会うことが多かった2008年。ジャパニーズ・ポップスターズやデイデラス、モービー、さらには月刊プロボーラーやcapsule、SBKなど日本勢の作品にその雰囲気は濃かった気がします。〈今年はレイヴがくるよ〉の名言で知られる小室哲哉の件があった年に相応しいって? その小室が推したデス・テクノ的なレイヴ≒〈ジュリアナ・サウンド〉もいま聴くと実に2008年的な響きで驚かされますよ。
(出嶌)

世界のニーヨ
 2008年には、黒さ以上に青臭さを感じさせる薄味ヴォーカルで素直なメロディーをストレートに歌うR&Bシンガーが世界中からドッと登場したが、そのどれにも〈ポスト・ニーヨ〉〈○○のニーヨ〉とキャッチが躍ったものだった。盤を挙げた以外にもジニュ・パークや松下優也が思い出されるが、当のニーヨと同じく、その多くがヴァイブ・ミュージック的な楽曲に挑んでいたのも印象的。薄口の歌声と4つ打ちビートの相性の良さという意味でも興味深い動きだ。
(出嶌)

ジブリ・ブーム?
 数年前からその気配はあったが……映画「崖の上のポニョ」がまたも大爆発した2008年は、DE DE MOUSEらが参加した企画コンピ『キラキラジブリ』のヒットを皮切りに、DAISHI DANCEの『the ジブリ set』など、〈スタジオジブリ〉映画の著名曲をカヴァーorネタ使いしたヒップホップやハウス作品が相次いだ。疲れた現代人(←安易)の求める音楽がピュアネスや懐かしさを喚起するものしかないのなら、もう何も言うことはありませんが。
(出嶌)

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