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アメリカン・ポップスの王道として

ブルースやカントリー界では、やはりヴェテラン勢がそれぞれの立ち位置を明確に打ち出し、ここに掲載した以外にもバディ・ガイやアーマ・トーマスらの意欲作に数多く恵まれた1年と言えるだろう。その一方で、ここ数年流行のTVオーディション番組からもカントリー系の新人が続々と輩出されたり、ジェシカ・シンプソンもカントリーに挑戦するなど、カントリーがUSメインストリーム・ポップの王道的な音楽として機能していることをいっそう印象付けられた。
(野崎)

WILLIE NELSON 『Moment Of Forever』 Lost Highway 
USカントリー界のドンがケニー・チェスニーをプロデュースに迎えて制作した作品。2008年はヴェテランが若い世代のミュージシャンとコラボレートした作品が数多く発表されたが、円熟と瑞々しさが漲る本作はその最たる成功例と言える一枚だろう。
(野崎)

DR. JOHN AND THE LOWER 911 『City That Care Forgot』 429 
エリック・クラプトンをはじめ、ニューオーリンズの音楽仲間たちも多数ゲスト参加し、ドクターがエネルギッシュなファンク・サウンドに乗せて歯に衣着せぬ力強いメッセージを放った。カトリーナから3年を経た現在、同地復興への祈りは続く……。
(野崎)

EMMYLOU HARRIS 『All I Intended To Be』 Nonesuch 
近年はダニエル・ラノワ人脈と組んでオルタナ・カントリーの女王の地位を築いていただけに、本作での原点回帰には驚かされた。70年代、公私に渡るパートナーだったブライアン・アハーンがプロデュースを手掛けたアコースティック色の濃い正統派カントリー作。
(野崎)

RY COODER 『I, Flathead』 Nonesuch 
USルーツ・ミュージックの探求者が〈在りし日のアメリカ〉を題材としたカリフォルニア3部作の完結編。架空のミュージシャンの物語として綴られる本作は、ジョニー・キャッシュなどの名もタイトルに盛り込み、50年代カントリーの要素がとりわけ色濃く出た仕上がりとなった。
(野崎)

SIERRA HULL 『Secrets』 Rounder/Decca 
ブルーグラス・シーンにおける2008年最大のトピックは、この16歳の女子高生マンドリン奏者/シンガーのブレイクだろう。大先輩ロン・ブロックをプロデュースに迎えた本デビュー作を引っ提げた来日公演も実現。日本中のブルーグラス・ファンをメロメロに魅了した。
(野崎)

JESSICA SIMPSON 『Do You Know』 Columbia Nashville/Epic 
映画「デュークス・オブ・ハザード」で南部娘ぶりを見せていたポップ界のセレブが、カントリーに本格接近! 本作に代表されるポップ・フィールドからのカントリーへのアプローチは2008年の大きな潮流と言えるが、まだまだこの流れは続きそうだ。
(野崎)

TAJ MAHAL 『Maestro』 Heads Up 
デビュー40周年記念作。フォーク、リズム&ブルース、レゲエ、ハワイアンなど多様なルーツ音楽をミックスし、元祖〈クロスオーヴァー・ブルースマン〉な音楽性を集大成してみせる一方、ジャック・ジョンソンら若手とのコラボ曲にも挑戦。ヴェテランが奮起した年に相応しい内容だった。
(野崎)

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2008年12月25日 10:00

更新: 2008年12月25日 17:50

ソース: 『bounce』 306号(2008/12/25)

文/bounce編集部

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