ROCK IN JAPAN
まだまだ続く新世代の台頭
前年に続き、新世代勢がシーンを牽引した2008年。〈突然変異〉バンドたちが早くもカリスマ性を帯びるなか、激アツなディスコ・ロックを鳴らすthe telephonesやシュールなポップイズムに徹する相対性理論ら新顔も話題をさらった。また、neco眠るらゼロ世代以降の関西バンドによる独自の感性が炸裂した作品も充実。そしてパンクへと振り切ったYOUR SONG IS GOODやハウス寄りにシフトしたZAZEN BOYSなど、ヴェテラン(!?)の暴走ぶりも特筆すべきか。
(土田)
the telephones 『JAPAN』 JULY
ニューレイヴの余波もあって、踊れるロック作品の多い年だったが、彼らの話題性に勝るものはなかった。超ポップでアッパーでフィジカルなこのディスコ・ロック作は、ライヴの凄まじさと共に強烈なインパクトを与えることに。難しいことは考えず、猥雑道を突き進んでほしい。
(加藤)
ウリチパン郡 『ジャイアント・クラブ』 AKICHI
いまをときめくドラマー、千住宗臣(元BOREDOMS、現PARA)の加入によるものか、アフロ、ブラジリアン、ラテンなどを咀嚼した多様なリズムと極彩色のウワモノが四次元旅行へと誘う、驚異のワールド・ミュージック集! 活況を呈した関西勢でも1、2を争う大傑作だ。
(土田)
曽我部恵一BAND 『キラキラ!』 ROSE
結成以来3年以上に渡って数百本のライヴを行い、満を持して初作を発表した曽我部恵一率いる異色の新人バンド。新世代勢の特異性が何かと注目されるなか、鍛え上げられた真っ当なロックンロールで〈キラキラしたいんだ!〉と歌う30過ぎた男たちは、羨ましいほど青春していた。
(加藤)
Nabowa 『flow』 mogie/bud
LITEやteなど攻撃性の強いインスト・バンドの新作が目立つなか、彼らが奏でる調和の美学を前面に押し出した〈歌なき歌〉は、特異な存在感を放っていた。伸びやかなヴァイオリンを中心としたエモーショナルでチルなサウンドは、京都の街角の空気そのもののような風通しの良さ!
(土田)
nhhmbase 『波紋クロス』 &
変拍子と言えばこの連中! 独立したリズムに基づく5つのメロディーがポップに交わる音楽性とアナーキーなライヴで名を上げた彼らも、〈突然変異型〉のオーラスとして(?)約2年ぶりの新作を投下……したのだが、先日、残念ながら解散を発表。今後はソングライター、マモルのソロに。
(土田)
相対性理論 『シフォン主義』 みらい
ライヴはやってもメディアには顔を出さないので正体不明。だから余計みんなが気になり、一躍〈時のバンド〉となった4人組。ポップでロッキンなサウンドをバックにした不思議な歌は恐ろしくキャッチーで、呪いのように頭を離れない。〈してやった感〉満載の彼らの今後はやはり気になる。
(加藤)
8otto 『HYPER,HY8ER,HYPER』 BMG JAPAN
漆黒グルーヴが劇的な進化を遂げた本作は、鋭角なリフとファンキーなビートのみで聴き手の腰を直撃。荘厳なコーラスなどの新機軸を導入しつつ、硬派なダンス・ロック道を粛々と歩み続ける彼らのサウンドは、やっぱり唯一無二。かつ、若手ではもっとも獰猛な存在かと。
(土田)
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