J-CLUB MUSIC
エレクトロが新たなシーンの支柱に
引き続き国産ハウスの勢いは留まるところを知らず、DAISHI DANCE『theジブリset』がさらにその裾野をマスへと広げていくなか、新たなトピックスはDEXPISTOLSや80kidz、MADEMOISELLE YULIAら若手エレクトロ勢の躍進だろう。2009年もこの2つの流れがシーン全体の大きな柱になりそう。また、group_inouやあらかじめ決められた恋人たちへなどロック界隈とも接近する〈狭間アーティスト〉たちの活躍ももっと重要視されるべき。
(田中将)
DJ KAWASAKI 『YOU CAN MAKE IT』 コロムビア
2008年はこのオリジナル作に加え、自身のリミックス曲などを集めた外仕事集2枚を発表し、〈国産ハウス界の顔役〉という存在感を見せつけて〈胸キュン〉とは別の次元で王道を行くスタイルを貫いた。ジャケに顕著な決してブレないキャッチーさがカワサキ印。
(田中将)
note native 『Reflect』 AZtribe
突如として国産ハウス・シーンの中心に躍り出た、田尻知之のソロ・プロジェクト。幻想的で煌びやかなメロディーと軽やかに疾走するビートを武器に、ホーム・リスニングとしてのハウスの可能性を提示してみせた。続く2作目と共に、いまなおロング・セールスを記録するモンスター盤。
(田中将)
miroque 『green anthology』 twinkle/HEADZ
居心地の良さと奇妙な寓話性、内へと向かう箱庭的アンビエントの魅力(というか、魔力)がどっさりと詰め込まれた3年ぶりのアルバム。schole勢やausといった新たな才能が台頭しているエレクトロニカ・シーンにおいて、このヴェテランの実力がより鮮やかに映った。
(田中将)
9dw 『9dw』 CATUNE
メンバー2名がバンドを離れ、斎藤健介のソロ・ユニットとしてNINE DAYS WONDERから表記を変更し、活動を再開。ハードコア路線から粘着度高めなフュージョン~AOR、黒光りディスコ~ファンク・スタイルに一転した。オバマの一歩先を行く〈CHANGE〉っぷりが、2008年のサプライズに。
(田中将)
元気ロケッツ 『Genki Rockets I -Heavenly Star-』 avex trax
一躍その名を知らしめたキラー・ボム“Heavenly Star”が〈HOUSE NATION〉のアンセムになったり、今後大注目のA-beeをいち早くクリエイターに起用したりと、目が離せない元気なユニット。煌びやかなオートチューンの歌声はいまなお中毒者増加中。
(田中将)
Oigoru 『Borsh Kaai Breaks』 HIGHCONTRAST/ヴィヴィド
稀代のターンテーブリスト・L?K?Oとタブラ奏者のU-zhaanによるユニット。湿り気たっぷりのタブラ・ビートを軸に、民族楽器の祝祭サウンドをエディットする超悩殺グルーヴには参りました! 異種配合による突然変異が成功した2008年の好例。
(田中将)
cro-magnon 『III』 Jazzy Sport/ラストラム
コンセプト・アルバムにリミックス集、そして本オリジナル作と立て続けにリリースした日本最強のディスコ・ファンク・バンド。人力で繰り出す直球ディスコからソウル、ミニマル……とクールすぎる楽曲の数々には正直脱帽です。そりゃ外仕事でもモテぶりを発揮するわけですわ。
(田中将)
GINGER DOES'EM ALL 『SWEET BROWN ADDICTED』 PHUNK/DELIC
まあ、2008年だからどうってことでもないでしょうが、無味な音楽が増えたからこそ、このファンキー・ムーディー・ダブ・さわやか・メロウ・アフロ・ラウンジ・ミュージックの甘苦さが効きます。こういう人の着実なリリースも嬉しい限り。
(出嶌)
Traks Boys 『Bring The Noise』 SWC
crystalとK404によるコンビの2作目は、アシッドでスペイシーなテクノと瑞々しいニューウェイヴ感が折衷した一枚。前年と比べて少々停滞気味だった地下シーンでは、優秀なトラックメイカー不足が指摘されるなか、これほど聴かせるテクノ作を仕上げた彼らの次の一手に注目です。
(田中将)
Jemapur 『Evacuation』 W+K Tokyo Lab/EMI Music Japan
前作の続編的な牧歌性を想像していたら、よりディープで実験的なビートにシフトしてビックリ。AUDIO ACTIVEのCutsighとのユニット=DELMAKでの作品も注目された彼は、まだまだ伸びシロが有り余っている様子の22歳。末恐ろしい逸材です。
(田中将)
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