JAPANESE HIPHOP(2)
KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'S 『HAGULIFE』 KSR
人懐っこい佇まいで異形の美を磨き上げてきたはぐれ者三匹の歩みが、SKYFISHやDJ FAMILYも交えて新しいポップ・ミュージックに着地、というか飛躍した意欲作。とりわけ精力的な動きを見せた鎮座DOPENESSは、環ROYと並ぶ〈2009年の顔〉になるだろう。
(出嶌)
ICE BAHN 『OVER VIEW』 BBP
リアルを一義にとかく私小説化しがちな近年の日本語ラップの潮流から距離を置き、いまや少数派となりつつあるライミング命で曲に力を注ぐスタイルの系譜を継ぐ者だ。韻踏合組合や随喜と真田2.0らとマイクを交えた楽曲の怒涛の興奮に、忘れ去られがちな〈ラップ・スキル〉を見るはず。
(一ノ木)
NORIKIYO 『OUTLET BLUES』 EXIT TUNES
SEEDAの傑作『花と雨』以来となるBACH LOGIC全面プロデュース作は、エレクトロニックな音像によって土臭いNORIKIYOのアーティスト像を一新させ、彼をグッとメインストリームへと押し出した。その音は日本語ラップの真新しいモードをまたひとつセットするものと言えそう。
(一ノ木)
BES 『REBUILD』 Pヴァイン
MCバトルでの活躍によってますます注目を集める彼。巧みなフロウとラフさ溢れる聴こえは、すでにアンダーグラウンドではNo.1レヴェルの実力と支持を誇っている。パーソナルな内容を多く盛り込んだ初のソロ名義作は、その内容もあってさらにリスナーへと近付いた感あり。
(一ノ木)
CIAZOO 『THE LOGIC WORK ORANGE』 CIA REC
広くクラブ・ミュージックと共振する様はTHA BLUE HERB~MIC JACK PRODUCTIONら北の先達に通じるも、よりアンダーグラウンドな音楽性と共にハードコアにまで交流を広げる真新しい代表。ゲットー音楽としての日本語ラップの音楽的再生をそこに見たい注目作だ。
(一ノ木)
山仁 『クッキーマン』 Libra
ファミリー色の強いインディー・レーベルにとって、世代や党派を越えた実力派を呼び込む次なる展開は必要不可欠。Loop Junktion解散後は自身の手で精力的なリリースを続ける彼の新作を、MSCらを擁すLibraが発表したのもそんな展開のひとつか。生音を随所に配した音の方向性も彼ならでは。
(一ノ木)
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