J-POP STANDARD(2)
pupa 『floating pupa』 EMI Music Japan
高橋幸宏を中心に集った、高野寛、権藤知彦、堀江博久、高田蓮、原田知世という、百戦錬磨の音楽家。メンバー全員がこなすヴォーカル&ハーモニーとエレクトロニカ・サウンドを丹念に編み、しなやかさと温もりを醸し出す音像たちは2008年のさりげないハイライトだった。
(久保田)
大橋トリオ 『THIS IS MUSIC』 PATCH WORKS
TVCMや映画の音楽など、裏方としてその才能を発揮してきた大橋好規のソロ・ユニットによる初作。ジャズ、カントリー、AOR、フォーク・ロック、ソウルなど多彩なサウンドを独自のメロウネスでまとめ上げる手腕は、新しモノ好きのKYON2のお眼鏡にも敵い……。
(久保田)
Aira Mitsuki 『COPY』 D-topia
デビュー時の徒花っぽい見られ方から、挑発的な表題を掲げてブリーピーなブッ壊れクトロ度を増した本作の仕上がりをもって、それどころじゃない存在に脱皮。Terukadoを軸にした裏方選びも毎回巧みで、以降のシングル展開も刺激的だ。〈シーン〉をおもしろくするのはこういう作品です。
(出嶌)
□□□ 『Tonight』 commmons
デビュー当初は歌モノを、2007年の前作『GOLDEN LOVE』ではヒップホップ色を前面に出してきた彼らが、本作ではあらゆるダンス・ビートを駆使して、そのポップネスを全開に。かしこまってやってたらうっかり見過ごされちゃいそうな、このご時世にも負けない強力盤に相成りました。
(久保田)
おおはた雄一 『Music From The Magic Shop』 ワーナー
ブルース、カントリー、フォークをベースにグッド・ミュージックを送り続けてきた彼が、ジェシー・ハリス、リチャード・ジュリアンと運命的なNY録音を果たして、これまで以上に強い生命力を音に宿した。本作の前に発表したカヴァー・アルバムも秀逸でした。
(久保田)
原田郁子 『銀河』 コロムビア
『気配と余韻』『ケモノと魔法』、そして本作。エンジニアのZAKが仕掛けたマジックにも彩られて、良い曲、良いメロディーという次元を超越した自由度の高い3作を立て続けに発表した2008年の彼女。みずからブックレットの作画を手掛けるなど、芸術的センスの高さもこれまで以上に光らせた。
(久保田)
中山うり 『ケセラ Que Sera』 ソニー
エキゾティックな旋律を奏でるアコーディオンの調べと心地良く揺れるビート、ナチュラルにエフェクトがかったヴォーカルとセンチなメロディーが誘う、ノスタルジックかつ情緒たっぷりな世界。この初のフル・アルバムに浸れば、不景気ムードもどこへやら。なるようになる……か?
(久保田)
矢野顕子 『akiko』 YAMAHA
前年はrei harakamiとのyanokamiで活動していた彼女から、憧れのT・ボーン・バーネットがプロデュース、さらにジャズ・ギタリストのマーク・リーボウも参加してのロックな作品が誕生。27作目だからこその貫禄も、新境地に足を踏み入れた初々しさも備えた、理想的なヴェテラン作。
(加藤)
小泉今日子 『Nice Middle』 ビクター
ポップ・ラヴァーズのど真ん中に刺さる新作を引っ提げて5年半ぶりに帰ってきた〈歌手〉KYON2。世の中の空気を読み取るズバ抜けた感度と自分に対する理解力、そしてなんてったって、オトコ友達の多さが実を結んだ傑作。アラフォー世代の憧れ? いや、なかなか真似できませんよ。
(久保田)
鈴木亜美 『Supreme Show』 avex trax
前年の〈OPUS OF THE YEAR〉で頼んだら実現した(妄想)中田ヤスタカの完全プロデュースによる10周年記念盤。レイヴィーな音塊とキュートな懇願が等価になった音世界……フィギュア好きにはわかるまいが、トータルの完成度の高さはどう考えても中田ワークス中の最高峰でしょ。
(出嶌)
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