R&B(2)
ROI ANTHONY 『True Soul Lifestyle』 MoHitz
生き様そのものがソウルな男は、何を歌ってもソウルになる。ルイジアナの熱血漢が前年のEPで煽った期待に応えたフル・アルバム。メジャー・レーベルが介入しなければダーティー・サウスのR&Bはこうも黒くなる、という最良のサンプルだろう。
(林)
LLOYD 『Lessons In Love』 Young Goldie/The Inc./Universal
ナヨ声王子の3作目はそのヴォーカルを最大限に活かしたエロティックな内容に仕上がり、ニーヨ・フォロワーな美メロ連中とは一線を画する艶やかなキャラ立ちを確固たるものに。相変わらずの客演の多さも、その声への需要の高さを証明するものだった。
(池谷)
NOEL GOURDIN 『After My Time』 Epic
ボストン出身の新人が作り上げたデビュー作は、ケイ・ジーを中心としたバックアップ体制もあって、〈ネクスト・ジャヒーム〉との評判に違わぬヴィンテージな味わいに溢れていた。キアンソニーと並び、2008年のソウル復権の流れを代表する作品のひとつだ。
(池谷)
NE-YO 『Year Of The Gentleman』 Def Jam
メロディアスな4つ打ちに泣きのシンセを絡めた“Closer”がユーロ圏でフォロワーを生みまくり、結果的にはしっかり2008年モードだった本作。楽しげなマイケルそっくりシリーズも継続され、本人の望むユニヴァーサルな音楽性にまた一歩近づいたと言えるか。
(出嶌)
SOLANGE 『Sol-Angel And The Hadley St. Dreams』 Music World/Geffen
私生活では〈姉〉より経験豊富な〈妹〉が、モータウンなどへの憧れを打ち出して不思議なセンスでまとめ上げた快作。構想は以前から練っていたようで、ソウル回帰するシーンの流れに乗って夢を実現させたという感じだろうか。時代が彼女に味方した。
(林)
JENNIFER HUDSON 『Jennifer Hudson』 Arista
身内の不幸は残念だったが、スポットライトを浴びながら作ったこのファースト・アルバムは、彼女の絶好調ぶりを伝える傑作となった。「ドリームガールズ」のイメージに止めることなく最新トレンドに対応し、一方で持ち前のゴスペル的歌唱も披露。可能性は無限大だ。
(林)
ROBIN THICKE 『Something Else』 StarTrak/Interscope
フィリー風からファンク、ディスコ、AORまでをスマートにまとめる手腕と、マーヴィン・ゲイさながらのしなやかで妖しい歌声は、もはや〈70年代へのオマージュ〉という言葉では片付けられない域へ。2008年を通じて屈指の〈黒さ〉に痺れた一枚だ。
(池谷)
AKON 『Freedom』 Konvict/SRC/Universal
いまやNo.1ヒットメイカーとなり、自身のレーベルからも多くのアーティストを送り出すことに成功したエイコン。待望の自作での、トランシーなアップとピースフルなミッドが締める自由な解放感に溢れる内容は、そんな順風満帆ぶりを表したものか。
(池谷)
BEYONCE 『I Am... Sasha Fierce』 Music World/Columbia
内省的な〈I Am〉盤では流石の歌力で魅了し、エネルギッシュな〈Sasha Fierce〉盤には2008年らしいサウンドを詰め込んだビヨンセ。ジェイ・Zとの結婚を経て、新たなディーヴァ像とイノヴェイターぶりの両面を別人格という設定での2枚組で見事に提示した。
(池谷)