HIP HOP(2)
THE D.E.Y 『The D.E.Y Has Come』 Columbia
EW&Fの“Fantasy”をネタにした日本人好みな“Give You The World”が日本でヒットしたラティーノ版フージーズ~BEP的な突発ルーキー。多様な人種が多様なジャンルのオイシイところを躊躇なくミックスしていくこの手のスタイルは、さらに発展していく可能性あり!
(升本)
NAS 『』 Ill Will/Columbia/Def Jam
結局は〈無題〉で世に出ることになってしまったアルバムだが、本当の題名が何であるかはみんな知っている。初の黒人大統領誕生に沸く2008年の米国を象徴する作品として語られる機会が多いものの、制作陣の人選など音楽的にも注目すべき点は多い。
(高橋)
ROOTS MANUVA 『Slime & Reason』 Big Dada
あの『Run Come Save Me』を凌駕する最高傑作。〈チャンネル・ワンやスタジオ・ワンの美学を意識した〉という本人の発言もあるように、持ち前のルーディーでマッシヴな魅力を改めて前面に押し出した、バック・トゥー・ベーシックな一枚。
(高橋)
THE GAME 『LAX』 Geffen
引退宣言を経て発表したサード・アルバム。数々の熾烈なビーフをくぐり抜けてきた男ならではの、ヒップホップへの愛憎にまみれた表現が胸に迫る。本人も認めているとおり、随所で疲労感も覗かせているものの、〈LAのレポーター〉の意地は捨てちゃいない。
(高橋)
KARDINAL OFFISHALL 『Not 4 Sale』 KonLive/Geffen
一年を通じて勢力拡大に勤しんだエイコンのフックアップによる最大の成果。カナダのヴェテランMCがラガ混じりのフロウとコンヴィクト・サウンドの魅力であるキャッチーさを見事に交配させ、先行シングルの“Dangerous”もアルバムも大ヒットを記録!
(升本)
Q-TIP 『The Renaissance』 Universal
USが〈変革〉を迎えるなかで登場した、実に9年ぶりのアルバム。試行錯誤の結果、原点回帰に近い形で復活してくれたのは多くのファンにとって喜ばしかっただろうし、J・ディラ製の楽曲収録もグッド・ニュース。ノラ・ジョーンズらが参加した大人の品格漂うヒップホップだ。
(升本)
IRONIK 『No Point In Wasting Tears』 Asylum/Warner UK
MOBOアワード新人賞ノミネートにも納得の快作。エルトン・ジョン、ルーサー・ヴァンドロス、ロジャーらの名作をあっけらかんとジャックしていく本作の逞しさは、俄然活気を帯びてきた2008年のUKヒップホップを体現するかのよう。
(高橋)
KANYE WEST 『808s & Heartbreak』 Roc-A-Fella/Def Jam
実母の死や婚約者との別離が影響したと思われる問題作。ヴォイス・エフェクトに魅了されて全編オートチューンを用いたヴォーカル・アルバムという旬のコンセプトもさることながら、ひたすらダークなトーンで構築されたプロダクションもフレッシュだった。
(升本)