bounceが選ぶ、2008年の50枚(3)
21.BLOC PARTY. 『Intimacy』 Wichita
ケミカル・ブラザーズか!と思ったほど、めちゃアグレッシヴな電子音がバカバカ盛り込まれ、すっかりフロア仕様にシフトした本作が超格好良い。当初からこっち志向だったにせよこれほど大胆に寄るとは驚いたが、〈同じことばっかりだと飽きるでしょ?〉精神は大いに賛成!
(加藤)
22.PLIES 『Definition Of Real』 Big Gates/Slip-N-Slide/Atlantic
T・ペインの援護を受けた一発屋っぽいデビュー時を凌ぐ大成功! 男の黒汁が滲む任侠フロウの凄味は、フロリダ熱やニーヨの客演といった追い風がなくとも独自の魅力を放ったに違いない。この記事が掲載される頃には新作の『Da Realist』もリリース済みのはず!
(出嶌)
23.VYBZ KARTEL 『The Teacher's Back』 VP
歯切れの良いシャキシャキしたウワ音×BPM早めのビートがダンスホール界隈における2008年のトレンドだったわけですが、その仕掛人こそがスティーヴン・マクレガー。で、カーテルは彼と全面タッグを組んで本作を完成させ、サウス好きからも喝采を浴びたわけです。
(山西)
24.THE COOL KIDS 『The Bake Sale』 Chocolate Industries
お洒落バックパッカーなイメージで敬遠してたら痛い目に遭うぞ! オールド・スクーリーに破裂するリズム・トラックと現代的な体温のMC、という意味ではスパンク・ロックっぽくもあった新星。フル・アルバムがもっとも待たれるグループのひとつだ。
(出嶌)
25.RAPHAEL SAADIQ 『The Way I See It』 Columbia
自身も制作に携わるノエル・ゴーディン作品をはじめ、R&Bシーン全体がレトロなムードで包まれたなか、その路線を徹底的に突き進んだのがこの男。サンプリングに一切頼らず、60~70年代の音を再解釈……というか、忠実に再現してみせた力業も凄すぎ!
(山西)
26.FOALS 『Untidotes』 Warner UK
原始的でフィジカルな生音のビート感に重きを置きながら、ブラスやシンセ、ギターでサイケ&アフロな独特の音世界を生み出した彼らは〈ニューノイズ〉なるUKお得意の括り名が付けられた。つまり、ニューレイヴ以降の新たなダンス・ロックを提示したということ。
(加藤)
27.SEEDA 『HEAVEN』 KSR
年末にはSCARSのリユニオン作も届けられるが、ビルとビルの狭間を吹き抜ける街風のように、移ろう光景と思いが情感豊かに語られた本作の美しさには敵わない。A.THUGやLUNA、ORITOの客演陣も素晴らしく、徒歩移動の際にはつい歌ってしまう、2008年屈指のリリカルな名品だ。
(出嶌)
28.AL GREEN 『Lay It Down』 Blue Note
これまで数回あった〈復活〉〈ハイ時代の再現〉といったキーワードはすべて取っておくべきだった。クエストラヴらが偉人に注ぐ愛を、それ以上にスケールのデカい御大のソウルが包み込んだ傑作! 黄金期のハイ・サウンドを蘇らせつつも、どこか2008年的なのは不思議。
(出嶌)
29.DE DE MOUSE 『sunset girls』 avex trax
地下シーンを賑わせた〈RAW LIFE〉の寵児がメジャー・デビュー! 持ち前のノスタルジーと児童性に溢れた世界観が、メロディーを強調することでさらなるトキメキをもたらした。本作を聴くにつけ、トレンドとは関係なく独自のポップスを探求しているようにも。
(加藤)
30.DUFFY 『Rockferry』 A&M
レオナ・ルイスやアデルら世界を席巻する女性シンガーが豊富だったUKでも、ひときわ輝いていた彼女。味わい深い鼻声ヴォイスで朗々と歌うレトロ・モダンなポップスは、どれも高品質で泣けてくる。また、注目作が目白押しだったバーナード・バトラー仕事では最大のヒットに。
(加藤)
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