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特集

AMI SUZUKI

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年12月04日 12:00

更新: 2008年12月04日 18:42

ソース: 『bounce』 305号(2008/11/25)

文/出嶌 孝次

デビュー10周年の節目に相応しい傑作!


  10周年。オーディション番組をきっかけに、98年にデビュー……なんて前置きすら必要ないほど、文脈やストーリーとは無関係にサウンドそのものとして、鈴木亜美のニュー・アルバム『Supreme Show』が素晴らしい! 昨年の鮮烈なシングル『FREE FREE/SUPER MUSIC MAKER』以降、いくつかの佳曲を通じて相性の良さを見せてきた中田ヤスタカが全曲のプロデュースを手掛けたアルバム──その事実だけで食指の動く人もいそうだが、そもそもダンサブルな作風を中心とし、コラボ企画=〈join〉盤の前作『DOLCE』でもクラブ系のクリエイター中心にjoinしていた彼女だけに、彼女の動きをずっと追ってきたファンにとっても納得の深化だろう。“ONE”や“can't stop the DISCO”といったシングル群を核に広がったアルバムは、当然エレクトロでハウシーで、でもそれだけじゃない、統一感のある内容となっている。

「中田さんと初めてやった“FREE FREE”は、こういう音がそろそろ型破りでもなくなるんじゃないかなっていう、ちょうど思い切ろうというタイミングでリリースしたんですね。音楽の幅をもっと広げてもいいと思ったし、誰が歌っているかわからなくても〈格好良ければいいんじゃない?〉って。ヴォーカルへのこだわりよりもサウンドが良ければ、聴く人も格好良いと思ってくれるだろうし、これまで鈴木亜美に興味のなかった人も〈何かやってるな~〉みたいに興味を少しでも持ってもらえるようになってきたと思います」。

 エレクトロやディスコといったキーワードから紋切り型のサウンドを連想しがちな人なら、ここに至ってもアグレッシヴに攻めてくる中田スタイルに認識を改めさせられるだろう。当の彼女自身はこのような仕上がりを想像し、望んでいたのだろうか?

「事前にはまったくイメージできなかったです。バラードっぽい曲も欲しいっていうのと、〈中田さんが新しいと思えるものをやりたい〉とだけ伝えました。でも、絶対に私が気に入るものしか出来てこないだろうな、って。そこは信用して」。

 既発シングルに収録されていた曲は、よりレイヴィーなギザギザ具合を強めている昨今のエレクトロ事情にシンクロしながら(“climb up to the top”がヤバい!)アッパーな方向へハンドルを切っているのだが、注目は彼女の書いた詞を元に中田が曲を仕上げたという唯一の共作曲“LOVE MAIL”に象徴的な後半の展開だろう。

「私がいきなりその詞を渡して、中田さんが曲を作ってくれて。人間的な感情の揺れを出さない楽曲が多いなかで、デジタルなところに、ちゃんと〈人肌感〉が入り込んだと思うんです。そこが私の今回のチャレンジでしたね」。

 その〈チャレンジ〉に引っ張られてか、近年ではそうないほど中田のヒューマンな魅力が音になって現れたような後半の楽曲群は、素直に感動的ですらある。

「中田さんも〈初めて作った〉とか、〈俺のなかでは新しい〉って言いながら作ってた曲は多かったですね。レコーディングもアレンジもミックスも全部一人でこなすので、作業中は人を近づけないらしいんですけど、私は過程を見たかったから見せてもらってました。無言でプレッシャーをかけながら(笑)」。

 10周年。単なる区切りではあるけれども、そんな年にこの『Supreme Show』のような傑作を引き寄せてしまえる鈴木亜美は、やはり選ばれた存在なのだ。

▼鈴木亜美の近作を紹介。

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