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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年10月30日 11:00

更新: 2008年10月30日 16:48

ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)

文/宮本 英夫


  2005年には〈フジロック〉の〈ROOKIE A GO-GO〉のステージに立ち、2007年にはクーラ・シェイカーの来日公演でオープニング・アクトを務めるなど、十分に場数を踏んできた百戦錬磨の強者バンドがQUATTROだ。とにかくライヴの数が多く、常に現場でグルーヴとアンサンブルを組み立てていくからか、リリースまでに時間がかかるのかもしれない。そんな彼らが、約3年ぶりのニュー・アルバム『Square The Circle』を発表した。ここに込められた熱量とアイデアの数はハンパない。何よりも、〈ずっとコレが好きなんですけど何か?〉と言わんばかりの、シーンやトレンドに媚びない不敵な面構えが、どの曲を聴いても目に浮かんでくるのがいい。そして、このバンドをロックンロール・リヴァイヴァルだけで括るのは少々無理がある。彼らのフェイヴァリット・アーティストのリストは恐ろしく長く、ロック・ミュージックの歴史への深い愛情が感じられ、実際、本作に収められた楽曲のタイムレスな佇まいは、ストロークスなどを引き合いに出しつつも、ヤードバーズやトラフィック、ジミヘンなどを聴く時の原初的な興奮に例えてもしっくりくる。メンバーにハモンド・プレイヤーがいることもあって、60年代後半のブルース・ロックとサイケデリックな感覚が特に濃く、〈リフ命〉の扇情的な楽曲と、メロディー重視のポップな楽曲とがバランス良く配置されている。エンジニア&プロデューサーには8ottoを手掛けたヨシオカトシカズを起用し、ダーティーだがキャッチー、古めかしいが新しいという音のバランスも絶妙だ。もっと歌にパワーとうねりがあれば言うことなしだが、それは次の楽しみに取っておこう。

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