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特集

 夏の終わりにこれを書いているわけですが……だいたいズルムケで大盛り上がりするのに季節なんか関係ねえんですよ! 先月に引き続き、しつこくお届けするこの〈ERECT-RAW〉では、シーンのド真ん中でイキイキと発電を続ける〈エレクトロとエレクトロのようなもの〉を、80年代のエレクトロ・ファンクと現行のニュー・エレクトロ~エレクトロ・ハウス中心に紹介しているわけですが、今月は90年代のエレクトロなダンス・ミュージックを思い出させるような動きにも何となく足を伸ばしてみました。

まあ、こういうのは細かく言葉を凝らすほどますます説明しなきゃならない言葉が枝分かれしまくっていくようなので……差し当たってはここでゴチャゴチャに紹介しているバラバラなものを全部チェックしてもらえれば、それで現場で楽しんでもらえれば、多様なように思える電気のグルーヴにもビリビリッと筋の通ったカッコ良さや共通する下世話な美しさを見つけ出せるはずです。いずれにせよ、ビリビリするなら、やっぱりいましかないよね!!

MiChi
『MiChi MadNesS』
 MMM(2008)
電気にビリビリするのもキュートな女の子にビビッとくるのも同じだぜ!ってことで、世界的なエレクトロ好景気に対して東京が用意したのは彼女。まあ、UK育ちだそうですが、このファースト・アルバムではマッドでポップなエレクトロ・ビーツを完成豊かに乗りこなし、溌剌とした歌唱でスタイリッシュな下世話さを振りまいています。反則気味なカヴァーもおもしろい!

MARCUS
『God Save The King』
 Surprise(2007)
トンがったベルギー産先鋭ユニットのデビュー作。リリースは去年だけど、安定入荷は最近のようだし、何より危険すぎるので紹介! 歪みまくったブリーピーなシンセをギザギザにあしらったダーク・ロボ・エレクトロの決定版で、初期ブラック・ストロボが好きだった人なら余裕で完食必至! しかし、先月のニド&サンシーもそうだけど、みんなピストルズが好きだね。

VARIOUS ARTISTS
『GAN-BAN SPECIAL - HOOLIGANS ON E』
 KSR(2008)
日本におけるシーンの重鎮にして立役者ともいえる〈GAN-BAN NIGHT〉から、いままで同パーティーに出演したアーティストのレア曲やリミックス、初CD化モノなどをモリモリに盛り込んだコンピが登場! キルシティの“Hooligans On E”をはじめ、ジャスティスやミッドナイト・ジャガーノーツ、シューズ、サーキンらのエグいビートにシビれろ!

TOKYO BEAT SOCIETY
『PLANET DANCING』
 RHYTHM REPUBLIC(2008)
正体不明のクリエイターが圧巻のパーティー・チューンをバキバキと並べたファースト・アルバム。〈MySpace〉経由で海外メディアでも人気になったという人だが、ポイントはニューレイヴ・カラーリングの明快なジャケとは裏腹に、ジャパニーズ・ポップスターズにも通じる90年代的なセンスを窺わせるあたりかも。そういや名前もどことなく似てる?

JAMES PANTS
『Welcome』
 Stones Throw(2008)
ストーンズ・スロウのエレクトロ職人による初のアルバム。80年代のエレクトロ・ファンク系を基調にアーバンなブラコン風のシンセ、レア・ディスコっぽいスカスカな雰囲気などが楽しく、情感に訴えかけるユルいメロディーやロボ声のフューチャリスティックなレトロ感覚にも酔わされる。上掲のアラビアン・プリンスとセットで聴いてみてちょうだい!

ARABIAN PRINCE
『Innovative Life : The Anthology 1984-1989』
 Stones Throw 
80年代のLAエレクトロをドクター・ドレーらと盛り上げた王子の編集盤がストーンズ・スロウから登場です! 懐かしいと思う人もいるだろうが……これはいまだからこそフレッシュなリアル元祖エレクトロ! マコーラ時代のソロ・ヒット“Innovator”やNWA加入期に残した“Panic Zone”などに驚きながら燃えろ! 新作にも期待……できんの?

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年09月25日 18:00

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/bounce編集部

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