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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年09月18日 10:00

更新: 2008年09月18日 16:22

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/池田“スカオ”和宏

たったいま、輝きながら降ってきた未来


  昨年8月、フレンチ・エレクトロを聴きながらニア・フュ-チャ-に想いを馳せているかのようなシングル“カラフル・ト-キョ-サウンズ・No.9”でデビュー。今春にはチャイナ・テイスト漂う旋律と幾何学を描くテクノ・ポップ、モジュレーション・ヴォイスに刹那のスパイスも隠し味にした“チャイナ・ディスコティカ”でメジャー・デビュ-。この5月には、それまでのヒュ-マノイド的な感情アプローチから一変。乙女的なドリーミ-さに彩られたミディアム・テンポの“Darling Wonderling Staring”を発表するなど、作品ごとにまるで着せ替えをするかのような軽やかなスタンスでの楽曲披露を行ってきたAira Mitsuki。そんな彼女が初のフル・アルバム『COPY』をリリースする。

「進化をきちんと見せられてると思います。内容もキラキラやバキバキをはじめ、いろいろなテイストが入っているし。歌い方にしても初期の無機質感を重視したものに比べて、より伝え方にもこだわったし。重いテーマでも、いかにそれを感じさせず、しかもきちんと伝えられるかをいろいろと考えながら歌いましたね。私的にはファースト・アルバムにしてベスト・アルバムを出せた感じかな」。

  いままでのシングルで記してきた3つの隔点が見事に線で連結。それがまるで『COPY』という星座を描き出しているかのような今作。そのうえ、テンポも雰囲気もさらにさまざまなタイプの楽曲が揃っているのも特徴だ。

「いろいろなタイプの曲が揃ってますが、そのどれもが自分なんです。どの曲も私の一面一面で、それらが合わさって、私という全体像になるんです。なので、各曲での主人公に合わせての歌い分けというよりは、自分でのその時々を自然に表現した感じですね」。

今作ではAira自身も各曲のコンセプト出しの段階から参加したという。自身の思ったこと、感じたこと、描きたいことを、彼女のデビュ-からトータル&サウンド・プロデューサ-として携わってきたTerukadoとキャッチボールしながら具現化。楽曲それぞれのリリックやメロディー/サウンドを肉付けしてきたという。フィルター・ハウス、フレンチ・エレクトロ、ドリーミー・ハウス、ニューレイヴ、インテリジェント・テクノ……とさまざまなキーワードをベースに、従来の無機質さやファンタジー感以外にも、ノイジーでバキバキな側面や幻想的な面、疾走感や壮快感、はたまた乙女的なキラキラ感など、曲ごとのヴァリエーションを味わわせてくれる。

「いままでは全部お任せだったものも、今回は各曲先に〈こういったことが伝えたい〉などのテーマを私から提案したんです。そのぶんアルバムでは曲と自分の距離も縮まった気がして。より〈自分の歌〉という意識で歌えました。歌詞にしても内面を出すという考えが強くなったぶん、前よりさらけ出してるし、以前よりもっと深いところまで表現できましたね」。

キャラや歌と共にAiraの作品の魅力として挙げられるのがサウンド・アプローチだ。従来どおりTerukadoをメインに立てながらも、MAKAIや元気ロケッツの作品に関与してきたA-bee、アンダーグラウンド・シーンで人気のCHERRYBOY FUNCTION、やけのはら、岡山発のキラメキ〈エモトロニカ〉トリオ=SUBSTANCEらがサウンド・プロデュースやリミックスで参加。新たなる彩りを添えている。

「皆さんが個性のある曲を提供してくれて、いろいろな引き出しを開けてもらいました。アレンジもお任せだったので、曲が戻ってきて、聴いた時には驚きましたね。〈これ、ホントに私の歌!?〉って(笑)。皆さんが私の声や歌にインスパイアされていろいろ試みてくださったみたいです」。

トラックのタイプもシチュエーションもさまざまながら、各曲を見事に歌い分け、幅広い表現のスキルを見せてくれる彼女。その対応力にはアルバムを聴き進めるたびに驚かされっぱなしだ。

「曲のタイプもいろいろだし、聴く人によって好きな曲も違うでしょうし。ひとつの作品としての流れも考えた曲順なので、ぜひきちんと通して聴いて下さい。アルバム全体を楽しんでほしいな」。

ヴォーカルやメロディーには親しみやすさがあり、サウンドやアレンジはクラブ・ミュージックのリスナーも満足させる高レヴェルを有している『COPY』。その双方を楽曲ごとに両立/同居させ、かつ両者を納得させるだけのおもしろみを十分に備えたその内容は、群雄割拠の様相を呈しているガ-リ-なエレクトロ~テクノ・ポップ界隈においても希有なクォリティーだろう。Aira Mitsukiはポピュラリティーの獲得とアンダーグラウンドでの支持という両面での寵愛をめざすのである。

▼Aira Mitsukiのシングルを紹介。


すでにソールドアウトとなった同年のタワレコ限定盤“Darling Wonderling Staring”(D-topia)

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