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Nas

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2008年08月28日 11:00

更新: 2008年08月28日 17:55

ソース: 『bounce』 302号(2008/8/25)

文/小林 雅明


  最新作〈Untitled〉は、ナズのキャリアを振り返るうえで非常に興味深いアルバムだ。奇しくも12年前のちょうど今頃、彼は7月にリリースしたばかりのセカンド・アルバム『It Was Written』に対する批判の矢面に立たされていた。当時の〈売れ線〉プロデューサーだったトラックマスターズやドクター・ドレーを制作陣に、ローリン・ヒルやジョジョ(ジョデシィ)を客演に招き、ギャングスタ化したことが〈セルアウト〉だと決めつけられていたのだ。

 それが、今回の〈Untitled〉ではどうだろう。ポロウ・ダ・ドン、DJトゥーンプ、クール&ドレー、マーク・ロンソンらの〈売れ線〉を取り揃え、アイドル人気を誇るクリス・ブラウンまで客演しているのだ。いまどきのヒップホップ・リスナーなら、ここには特に反応しないかもしれない。だが、デビュー以前からナズのキャリアをリアルタイムで体験してきたリスナーなら、彼が『It Was Written』以来、特にコアなファンを中心とするリスナーから不思議とセルアウト≒メインストリーム化を拒まれ続けてきたことを思い出さずにはいられないだろう。

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