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犬式 a.k.a.Dogggystyle まだ誰も足を踏み入れていない、熱帯夜の新大陸

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2008年08月14日 11:00

更新: 2008年08月14日 17:56

ソース: 『bounce』 301号(2008/7/25)

文/大石 始


  犬式 a.k.a. Dogggystyleのニュー・アルバム『意識の新大陸フレッシュ』は、熱帯夜のムンとした空気感が詰まったようなアルバムだ。「〈今回のアルバムが最後になるかもしれない〉っていう気持ちで作りましたね」(三根星太郎、ギター)というように、バンド結成から10年目、レゲエやファンク、ソウルのいちばん濃いところを消化吸収しながら活動してきた彼らにとって、今回はひとつの転換期ともいえる作品となった。

「今回のアルバムにはレゲエのカッティングが一切入ってないんですよ。僕らは王道的なものは作れないし、留まれないんですよね。留まりたくないというか……やってる自分たちが未知の領域に突入してアガる、その感覚がないと立たない身体になってしまった感じですね。フェチです(笑)」(三宅洋平、ヴォーカル/ギター)。

かつてのファンクやレゲエが持っていた「個人から出てきたエグ味みたいなもの、それが音として発信された時に時代を超えてしまうようなもの」(洋平)に対しての思いを捉え直し、さらには犬式というバンドで音楽をやる意味・意義まで問いかけながら制作したという今作。パーカッションのIZPON(KINGDOM☆AFROCKS)が参加したことで、その音楽性はさらに広がった。

「ロックもソウルもラテンもレゲエも好きなんですけど、今回はいろんな要素を多方面に出せましたね」(三根)。

「アフロビートも結構聴いてたから、その影響が出てるかもしれない」(石黒祥司、ベース)。

ここにあるのは、音楽に対する愛情……を超えた信仰心のようなもの。

「音楽で何かを変えられないんだったらやってる意味もないと思うし、そこにハマっちゃったからこそ30近くになってもこんなことやってるわけであって(笑)」(三根)。

「たったひとつのフレーズによって、一夜にして世の中が変わるような大どんでん返し感がロックの醍醐味なんですよ、オレにとっては」(洋平)。

  自分たちを極限まで追い込んで制作された『意識の新大陸フレッシュ』には、まだ誰も聴いたことがない未知の地平が広がっている。「レコーディングで録った音を聴いてたんですけど、自分のバンドの曲でノリノリになったのは初めてでした」(洋平)と話すように、ここにはメンバーすら見たことのない世界が広がっているのだろう。ジャンルや人種を超えてユナイトできる、〈フレッシュ〉という名の新大陸――グレイトフル・デッドもフェラ・クティもマヌー・チャオもマイケル・フランティ・アンド・スピアヘッドもこの大陸の住人だ――がここにはある。

「ツルっと聴けるものだけじゃなくて、自分が試されるような、禊のような音楽があってもいいと思うし、そういうアルバムを聴いたことで何かが変われたとすれば……〈意識の新大陸フレッシュ〉へようこそって感じですね(笑)」(洋平)。

▼犬式a.k.a.Dogggystyleの作品を紹介。

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