THE WARMTH OF THE SUN! あの人やこの人が、日本の夏にビーチ・ボーイズをカスタマイズしたんです!
夏が来たなら何を聴く? もちろん〈ビーチ・ボーイズ!〉って声はUSだけのものじゃなく、わが国でも夏の代名詞的な音楽として聴き継がれているわけだが、それは彼らのサウンドを愛し、継承してきた音楽家たちの功績に拠るところも大きい。というわけで、ここではBB5サウンドを日本の夏仕様に変換させた面々を紹介していこう。
まず筆頭に挙げたいのが、ザ・ワイルド・ワンズ。GSの代表選手である彼らは、夏が来れば思い出す名曲“想い出の渚”を残した元祖夏男たち。BB5に対する愛情は筋金入りで、ライヴでは長きに渡って彼らのメドレーをやったことでも知られている。また、10代に自主制作したアルバムでBB5ナンバーを完璧に再現していた山下達郎は、日本の応援団長と呼びたい人。音楽キャリアを積んだ後にふたたびBB5カヴァーに挑戦し、かつての拙かった自分に決着をつけ、変わらぬ愛を示してみせる姿勢には凄味すら感じたものだ。そうそう、ピンク・レディも〈夏=BB5〉ってイメージを伝達させるのに一役買ったことがある。サーフィン歌謡“波乗りパイレーツ”の〈U.S.A.吹込〉パートでは、なんとBB5をコーラスに起用。爽快なコラボを実現させてアッと驚かせた。続いては、レコーディングにおいてブライアンばりに細部へのこだわりを見せる桑田佳佑。彼の率いるサザンオールスターズも美麗なコーラス・ワークを披露するなど、BB5音楽への思い入れをいろんな場面で示してきた。ちなみにサザンとBB5は79年に開催された〈ジャパン・ジャム〉なるイヴェントで同じステージに立っている。さて、若いリスナーには意外がられるかもしれないが、吉田拓郎のバック・バンドとして活動した愛奴の頃よりBB5からの影響を表明している浜田省吾も生粋のチルドレン。“二人の夏”では潮風のようなファルセットでもって、BB5にオマージュを捧げているぞ。オマージュと言えば、ジャケも最高なウルフルズ“さんさんさん'95”。軽快でノリノリなハーモニー&ビートからは、夏がなくならない限り俺らはBB5は聴き続ける、といった主張も読み取れたりして……。で、昨今のシーンを見渡すと、Yacht.によるビーチ系のコーラスにしっかりとBB5の顔が浮かぶ。そう、J-Popの至るところに、BB5が潜んでいるのだ!
ザ・ワイルド・ワンズの67年作『ザ・ワイルド・ワンズ』(EMI Music Japan)
95年リリースのウルフルズのマキシ・シングル『さんさんさん'95』(EMI Music Japan)