PLEASE LET ME WONDER WORLD 若き日のビーチ・ボーイズが恋い焦がれた音楽の数々を振り返ろう!
ビーチ・ボーイズ(以下BB5)はUSポピュラー音楽の結晶体的な存在だ。ゆえにUS最高のバンドとして万人に認知されている。そこで、このコラムでは気になる彼らの音楽ルーツを読んでみよう。
まずはずせないのが、ジョージ・ガーシュウィン。ブライアンは少年時代に交響曲“Rhapsody In Blue”を聴き、天啓を受けたのだという。つまり、ブライアンの作り出すシンフォニックなサウンドは、〈USポピュラー音楽の父〉からの授かり物だったのだ。続いてはビーチ・ボーイズの魅力である厚いハーモニーのベースとなった、ジャズ・コーラス・グループのフォー・フレッシュメン。彼らの複雑だけれど完璧なハーモニーは、メンバーをメロメロにしたといわれている。ここらへんはBB5の上品な部分を支えている要素。一方でBB5はワイルドなサウンドへの興味も持ち、チャック・ベリーやフランキー・ライモン&ザ・ティーンネイジャーズなどのロックンロール~リズム&ブルースに熱狂していたりも。そして大人に対する反抗心をこれらの音から影響を受けた荒っぽいサウンドに込めてブッ放し、若者たちから支持されたのである。ちなみにBB5はフォーク音楽に対する興味も持っていて(特にアル・ジャーディンのフォーク趣味は有名)、彼らはキングストン・トリオのレパートリー“Sloop John B.”をカヴァーし、見事な我流のフォーク・ソングを誕生させている。
そして最後に挙げたいのが、サーフ・インスト・ミュージック。これはBB5もまた開拓者の1グループではあるが、流行の兆しがあったサーフィン・サウンドにいち早く反応し、そこに独自のコーラス・ワークを絡ませることで、BB5が生まれた──という意味ではルーツのひとつといえなくもない。このように、さまざまな影響が重なり合って生まれたBB5サウンドは、いろんな楽しみ方ができる最高のポップ・ミュージックなのだ。
サーファリーズのベスト盤『Wipe Out! The Best Of The Surfaris』(Varese Sarabande)