夏を待ちきれない女子2人の〈フジロック〉〈サマソニ〉放談
フジコ「どうでしょう? 今年の〈フジロック〉〈サマソニ〉は」
ソニエ「〈サマソニ〉は総じてUK祭って感じだね~。ヴァーヴ、コールドプレイとメイン・ステージのヘッドライナーが両日ともUKバンドだし」
フジコ「〈フジロック〉は相変わらず幅広くておもしろいよ。でも〈フジロック〉はマイ・ブラディ・ヴァレンタインで〈サマソニ〉はヴァーヴと、両フェスとも再結成バンドがメインを張っているっていうのが今年のトピックスだよね」
ソニエ「そうだね。フェスに参加する側としてはそういうバンドを観ておけば自慢できるし、やっぱり復活バンドは当然注目度が高いよ」
フジコ「ある種、お祭り的な要素と言えるよね。そしてもうひとつ共通する傾向というと、今年もダンス・ロックが強い!」
ソニエ「去年から〈サマソニ〉には〈DANCE STAGE〉が出来て、ニューレイヴ勢が大挙して訪れたわけだけど、まだまだそういう気運は続いているね。去年の出演時はアルバム・リリース前だったのにかなりの盛り上がりをみせていたハドーケン!が今年は〈DANCE STAGE〉のメインどころを務めるっていう大抜擢もあるので注目だよ」
フジコ「ニューレイヴをさらに進化させたようなバンドがどんどん出てきているよね。〈フジロック〉にはより肉体的な踊れるロックを指向しているフォールズやエレクトロ・パンクのデス・セットとか、いろいろなアプローチのバンドが出るよ」
ソニエ「うんうん。最新作ではロック方面に寄っていったホット・チップもその筋だね。それに加えてロック・ファンもクラブ・リスナーも、その双方を巻き込めるクラブ系アクトが多いよね。〈サマソニ〉だと〈ネクストM.I.A.〉とも言われてるサントゴールドとか、サウス・セントラルがまさにそんな感じ」
フジコ「〈フジロック〉ではエレポップやイタロ・ディスコとか80'sエキス満載のネオン・ネオンがおもしろそうだよ。あと、そんな〈notバンド〉たちが登場するところで凄く気になっているのがネオン・ネオンも登板する夜の〈RED MARQUEE〉。初日はグランドマスター・フラッシュなんて重鎮がいて、6年ぶりのアルバムをリリースした日本代表のShing02がいて、フレンチ・エレクトロのDJメディがいて……と滅多にお目にかかれない世界の豪華なヒップホップ陣が並んでるのよね! 今年はそちら方面にもかなり力を入れてブッキングしているみたい。ちなみにM.I.A.仕事でお馴染みのスウィッチ~大御所のリッチー・ホウティンっていう2日目の流れもまた凄い」
ソニエ「まあ、〈フジロック〉だからこそ!って感じのビッグネームが並んでいるね。そういうふうにヒップホップもクラブ系も、ワールドものも……と幅広く観るチャンスがあるっていうのが大型フェスの醍醐味だったりするよね。〈サマソニ〉だとアリシア・キーズなんかは去年出したアルバムがロックな一面も見え隠れしている作品だったっていうのもあるし、野外で彼女の歌を聴けるっていうのもなかなかあるもんじゃないから想像しただけで鳥肌ものだよ! それからラテン系ミクスチャー・バンドのカフェ・タクーヴァも〈BEACH STAGE〉なんてステキなところに出演するから観ておくべき!」
フジコ「やっぱりそれまで知らなかった音楽との〈出会い〉は音楽ファンであれば大切にしたいよね。そんな〈新たな発見〉にみんなが積極的になってくれるといいな。〈フジロック〉にはミーターズを思わせるような日本のインスト・ファンク・バンド、MOUNTAIN MOCHA KILIMANJAROもいれば、60年代から歌っているソウル・シンガーのベティ・ラヴェット、さらにレゲエ界からはリー“スクラッチ”ペリーも出て……と普段はなかなかいっぺんに観るチャンスのないライヴがわんさか体験できるのよ。確かにフェス名には〈ロック〉って付いているけど、ロックのフォーマットは特に関係ないね」
ソニエ「これほどの振り幅が出せているフェスは世界的に見ても少ないと思う。それに目当てのバンドだけを観に行くっていうのではなくて、フェスの空気感自体を楽しむっていう考え方が定着しているわけだから、来ている人もさまざまなアーティストに対してオープンマインドになっているはずだし、良い発見もできる。それで、両フェスのカラーとしては〈フジロック〉はヤング~アダルトまでストライク・ゾーン広めのアーティストが集まっていて、一方〈サマソニ〉はとにかくフレッシュ!ないまのムーヴメントがはっきりわかるようなアーティストが中心。そのなかにフレッシュ勢のルーツ的存在であるポール・ウェラーやディーヴォといったメンツもいるっていう感じかな」
フジコ「そういう継承されている音の繋がりを感じられるのも見方としておもしろいね! では最後に、見た目的なことも含めてそのパフォーマンスに注目したいアーティストを紹介したいんだけどいい? 個人的にかなり期待してるのがジェイミー・リデルね。これまではパジャマ姿で登場したりとぶっ飛んだことをやってたりしたんだけど、最近のアルバムはソウル/ファンク化したかなりの大変革作品になってるから、スーツでビシッとクールにキメているのをよく目にするの。〈フジロック〉でもぜひそれで来てほしい。絶対カッコイイ! あとはゴシップやCSSみたいな、どぎついくらいパワフルなパフォーマンスをする女性アーティストも大変気になる」
ソニエ「それ重要だよ、見た目とかステージングのおもしろさ。〈サマソニ〉で言ったらパニック・アット・ザ・ディスコかな。結局前のアルバムの時にライヴでやっていたようなシアトリカルな演出でピエロ風衣装&メイクなメンバーっていう図は観られないだろうけど、新しいアルバムを出して、いまはどんな感じなのかな?」
フジコ「本当はあのサーカス団が登場しての演出を真夏に観るのもまたおもしろかったと思うんだけど――んー、それにしてもあと1か月ほどか。いや~待ちきれないね! やっぱり今年も観どころが多くて大変だ」
ソニエ「会場も広いし、体力的にも大変。でもとりあえず紫外線対策と熱中症対策だけはしっかりとね。特に〈フジロック〉は寒さ&雨対策も忘れずに。体調を崩したら元も子もないから。それに美味しい食べ物もたくさん待ってるしー!」