こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

IF YOU ARE THE BIG TREE, WE ARE THE SMALL AXE プロデューサーとアーティストという仕事上の関係を超えて交歓された、ボブ・マーリーとリー・ペリーのソウル!

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2008年06月19日 11:00

更新: 2008年06月19日 17:00

ソース: 『bounce』 299号(2008/5/25)

文/鈴木 智彦

 リー“スクラッチ”ペリーとボブ・マーリー――2人の最初の出会いは、ペリーが駆け出しの〈何でも屋〉としてコクソン・ドッドの下で走り回っていた時代、63年にまで遡ることができる。しかし、その関係がまるで同じソウルを共有する兄弟のようなものにまで深まるのは、ボブがウェイラーズの活動休止期間を経てペリーのもとを訪れた70年春以降、およそ1年に渡る蜜月期のことだ(この頃リーはボブを自宅に住まわせ、食事の工面もしていた)。

 コクソンのスタジオ・ワンを離れてプロデューサーとして独立を果たし、独創的なインスト・レゲエ・ナンバーを次々と生み出してヒットさせるなど、大きな成功を収めつつあったペリー。同じくスタジオ・ワンから独立しながらも完全に行き詰っていたボブ。70年春の再会時には〈もうウェイラーズの2人(バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ)とはいっしょにやりたくない〉と語ったボブに対し、〈お前らは魂に革命を起こして復活したほうがいい! お前らの歌の力を証明しろ〉と助言したのがペリーだった。その助言を受け入れてふたたびウェイラーズとしての活動を再開したボブら3人に対し、ペリーはUSのソウル・ミュージックの模倣ではない、もっと素直に素の自分を表現するようなヴォーカル・スタイル確立のためにトレーニングを施すようになる。結果、あのボブの(スタジオ・ワン時代とはあきらかに異なる)ゆったりとしたファンキーな歌声と、ウェイラーズ特有の甘さと苦さが入り混じった官能的なハーモニーが誕生したのだ。その歌声がアップセッターズによる鞭のようにしなやかでソリッドなリズム・サウンドと融合した瞬間に、彼らの音楽は真のオリジナリティーとアイデンティティーを確立することになったのである。

 また、このペリーと親交を深めた時期に、後のボブの代名詞となるような名曲の数々(“Trench Town Rock”や“Small Axe”など多数!)がすでに生まれているが、それらの曲に共通する〈抑圧された人々のソウルを音楽で奮い立たせ、抑圧する力に対して音楽で抗い続ける〉といったレベル・ミュージック的な精神性も、あきらかにペリーからの影響や啓示、具体的な指導の力によるところが大きい。そのあたりをさらに詳しく知ってもらうためには、デイヴィッド・カッツの著書「PEOPLE FUNNY BOY 反逆の芸術・レゲエの奇才、リー“スクラッチ”ペリー~いかにして彼は神よりも自由になったのか?~」(ペリーの生涯を綿密に追った労作)の一読をこの場を借りて強くオススメしておきたい(この原稿も本書からいくつかの発言や事実を引用させてもらっている)。
▼リー“スクラッチ”ペリーとボブ・マーリーの絆の深さが窺える作品を紹介。

インタビュー